ネットを利用して、自殺志願者とコンタクトを取り、その志願者にわいせつ目的で近づき、行為を遂げた後に殺害する。という事件は聞いたことがある。
 


 

そのパターンと同じかとおもっていた事件が、池袋のホテルの客室で殺害された荒木ひろみさん(36)の事件。
 

容疑者の大東文化大四年・北島瑞樹(きたじまみずき)は、ツイッターの複数のアカウントを持ち自殺志願者を募っていた。
彼は「女性から殺してほしいと頼まれた。手で首を絞めた」と供述しているという。


警察庁担当記者の話。
「荒木さんは十二日夕方、一緒に住む両親に『病院に行く』と告げて家を出た後、手足を縛られ、布団圧縮袋とシーツにくるまれた遺体となってホテルで見つかりました。目立った外傷はなく、わいせつ目的は確認されていない。
 

防犯カメラにはキャリーケースを持った男の姿が映っており、捜査一課は周辺のカメラ映像をたどって北島を特定しました。袋などは事前にスーパーで購入し、殺害方法を携帯で検索した形跡もあり、計画的な犯行が疑われます」


しかし、1点の注目は、わいせつ目的が確認されていないとの事。では、純粋に自殺志願者の死への道を手助けしたかったのか?それは何故か?不思議な事件だなぁと思っていた。


捜査関係者によると、北島の携帯電話を解析したところ、ツイッターの一部のやり取りが削除されていたという。さらに北島の自宅からは荒木さんの携帯電話も見つかった。警視庁では荒木さん殺害に関わる証拠隠滅を図ったとみている。


今週号の週刊文春に思いがけない、犯人の動機のヒントとなるべきことが書かれていた。彼は劇団の活動に打ち込んでいた。主演のほかに脚本や演出も担当していたという。


「きたじいと呼ばれていた。いじられるタイプで本人もそれに乗る感じだった。こんな大それたことをするような人間には見えなかった」(演劇部関係者)


彼の書いていた脚本のテーマ―は自殺。

ストリーは、自殺志願者の小説家が描かれる。彼の親友はショック療法として逆に自殺を教唆。小説家は結局踏み切れずに生を選ぶ。親友はその後、小説家の心境を推し量る。

「でも、本当は止めてほしかったんじゃないでしょうか」


しかし、そこでまた疑問になるのは、それでは自殺志願者の自殺を手助けしている行為が、彼の書く小説のテ―マーとずれているのではないか。


わいせつ目的ではなく、生への手助けでもないなら、知り合いでもなく会ったばかりの女性の自殺の手伝いをすることによる彼の達成感とは何だったのか?わかりにくい事件だ。
 

参照:「いじられるタイプ」だったという22歳男子大学生の素顔 池袋ホテル事件
     週刊文春 2019年10月3日号

PR:12階から飛び降りて一度死んだ私が伝えたいこと (光文社新書)