「バイス」 2018年 アメリカ

 

いつものように、金曜日はナイトシアターを観に行くのだが、今週は見たいと思う映画が見当たらず、ちょっとだけ気になっていたアダム・マッケイ監督の「バイス」を選んだ。
 

主人公であるディック・チェイニーは、酔っ払いでケンカもしてイェール大学に数学期在籍したが、学校から放りだされて中退する。後にワイオミング大学に編入学したが、電気工事をやっていたこともある小太りのさえない男。しかし、彼は頭も良くて口も達者な奥さんのリンに尻をたたかれ、一念発起してジョージ・W・ブッシュ政権の副大統領の地位までのしあがったという物語。
 

そんな実話をベースにした映画であることは、ラジオで映画評論家の町山智浩氏の話を聞いていたから、知っていた。でも、基本はアメリカの政治の話であるから、映画として楽しめるかどうかは自分にとっては賭けだった。あまり期待していなかったのが正直なところだ。


しかし、映画が始まり、驚いた。このように面白く政治の世界を見せることができるのか・・・・。と、感心した。また、チェイニーを演じるために20㎏の増量を行ったというクリスチャン・ベールの存在感もスゴイ。ただ、太っているだけではなくて、心の内が読めない妙な迫力を体全体から発している、不気味な人間像をよく表現していた。


ニュースで何度も流された2001年9月11日のビル・ツインタワー(ワールトレードセンター)に飛行機が突っ込んだ場面が、映画にも出てくる。そこで、喧嘩っ早いだけのダメ男であったはずの男が、副大統領になっていて、そのアメリカの一大事件の対処方法をコントロールする場にいる。


関係者がみんなパニクっている場で一人、冷静にブッシュを差し置いて危機対応にあたり自分をアピールさせるチャンスだと考えている。そこの場面は、とても興味深かった。彼が電話で指示する言葉に対して、その側の女性が『あなたにはそのような指示を下す権限はない』と、抗議している。
 

しかし、映画「バイス」は上映時間が132分と長いし、アメリカの政治がからむので、どうしても今、観ている場面が何を意味しているのかわからない時が多い。気が付くと一瞬眠っていたことが何度かあった。政治にうとくて特にアメリカの政治の状況をよく知らないぼくには、知識不足がたたって、充分に映画の世界に入り込めなかった。


そんなぼくでも、前半の酒に溺れてダメ人間に近い男が政治の世界に入り、どんどん躍進していく場面はとても面白く観れた。少し、映画の中に出てくる人物や背景に関して、調べてからもう一度、見たいと思った。映画に出てくる若い女性たちと一緒に「次の『ワイルド・スピード』楽しみ!」なんてことばかり、考えている場合ではない・・・・・と、頭に刺激を与えてくれる映画だった。


なお、「バイス」は、サイト「ムービィウオーカー」で見てよかったと思う映画のランキング(4/3~4/9)で1番になっている。また、2019年第91回アカデミー賞にてメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞し、主役のクリスチャン・ベールは第76回ゴールデン・グローブ賞では主演男優賞を受賞している。

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