名古屋市の住宅で、60代の夫婦が殺害されているのが3月22日に見つかった。いずれも死後一か月以上経過していて、警察は30代の息子が事情を知っているとみて行方を捜していた。


住宅の寝室にて遺体で見つかったのは、名古屋市港区福前の配送業、米原達治さん(68)と妻の孝子さん(66)と確認された。死因は米原さんが、刺されたことによる出血死、孝子さんは、刺されたことによる
外傷性ショック、もしくは首を絞められたことによる窒息死と判明した。


息子は事情を知っているというよりは、『ほぼ殺害の犯人ではないか?』『1か月以上も行方がわからなく
なっている彼は今、どこで何をしているのか。』と、ぼくは考えていた。


このように犯人と思われる人物が現場から消えてしまった事件というのは、その事件の社会的な扱いの大きさは別として、なにかとその後の状況と展開が気になるものだ。また、犯人の殺害の動機が何だったのかも不明のままだと、いつまでもその事件が後をひいてしまう。


● ホテル駐車場で逮捕
ところで、その連絡が取れなくなっていた30代の長男・育隆(やすたか) 容疑者(37)が25日に逮捕さ
れた。


「間違いありません」と容疑を認め、2人の殺害もほのめかしていた。25日に愛知県西部にあるホテル
駐車場で捜査員が育隆容疑者の車を発見し、宿泊していた育隆容疑者を任意同行して逮捕した。
 


近所の住人は米原さん一家に関し、「トラブルなどは一切なく、本当に仲のいい家庭」と話す。しかし、
米原さん宅に新聞を届けていた配達員は2月中旬を境に「米原さん夫妻に突然会わなくなった」と話して
いた。


また、配達員は新聞の購買料に関してこのようにも語っている。
「銀行引き落としという形で契約されていて、米原さんのとこ、それで2カ月分が落ちなかったもんで」

新聞の集金スタッフが米原さんのご自宅に行ったら息子さんが出て来て言うには、
「今、長期旅行…世界一周旅行行ってるもんで」その後にさらに、「その旅費も自分が出した」という話
をしたという。


そこで配達員は疑問を口にしていた。
「口座引き落としにしているのに、(旅行前に)口座に新聞購読料を残していかないというのが、僕から
したら考えられない。」


捜査関係者によると、育隆容疑者が殺害の動機に関し、「定職に就かないことを親に責められていた」と、供述をしている。育隆容疑者は昨春、勤務先をやめた後、自宅とインターネットカフェを行き来する生活を送っていた。同居する夫妻に生活費を頼っていた上、夫妻の預金を無断で引き出し、けんかになることもあったという。


しかし、あたりまえのことではあるが、仕事を辞めて両親に生活費を頼っていたのなら、その両親を殺害
しては、収入源が元から絶たれることになる。両親の貯金を使うにしても、限界があることだろう。また、
殺人事件として扱われた場合にもっとも疑われる人物に該当することになる。


その当たり前の判断が消えるほどの怒りと殺意を抱いたのは、どのようなやりとりがあり、殺害に至る心理状態に陥ってしまったのか。本人にしたら、余計なお世話であろうが、ぼくはそこが最後に気になっている。
 

参照:名古屋の夫妻殺害 長男を死体遺棄容疑で逮捕    

    両親遺棄で逮捕の男「定職就かず親に責められ」

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