「マスカレード・ホテル」  2019年 日本
 

鈴木雅之監督で木村拓哉主演の『マスカレード・ホテル』、めずらしく夫婦で観に行った映画だった。

連続殺人事件で、犯人が指摘した次の殺害の場所は、ホテル。ということで、次々と現れる正体不明な宿泊客を刑事役の木村拓哉がホテルマンに扮して、次の犯行を防ぐ為に疑う。そのにわか仕込みのホテルマンを教育するのが客を信じる長澤まさみ。ということで、二人のお互いの職業意識のプライドがぶつかりつつも犯人逮捕にむかっていく。


これがまた出ている俳優もホテルもゴージャスでストリーも面白かった。木村拓哉は、外見のカッコ良さで、長澤まさみは、お客に接っするその立ち振る舞いの誠実さと動作の美しさで、実にホテルマン姿が決まっていた。

 

この映画の前の、同じく木村拓哉と二宮和也主演の「検察側の罪人」を観に行こうとしてぐずぐずしているうちに終わってしまっていた。だから今回は見逃さないように早く観ておこうと思った。


木村はここ最近、変な作り物の演技の癖を意識的に変えることにより成功している。それに動作が46歳になった今も、実に機敏だ。静止した状態から何かが起きたときに、飛び跳ねたように行動を変えるその素早さが見ていて心地よい。

映画を観終わった後に、前の席の女の人が友達に「面白かったね。」と言ったのが聞こえた。同じ想いだった。僕らを含めて映画を観て満足して帰った人が多かったのではないか。ぼくも妻もこの映画に関しては、見終わった後にずいぶん感想を言い合った。
 

東野圭吾の原作の良さもあるだろうけど、本当に良くできたスリラー映画で、犯人を当てるのはけっこう難しいのではないか。だから、犯人の意外さも含めて見終わった人同士で会話がはずむ映画だと思った。
 

とくに、木村を取り囲むベテラン含めた演技の上手い人が勢ぞろいした感じで、あまり集めると逆効果になって映画が死んでしまう場合があるのだが、この映画は成功していた。ところで、ぼくは単純に今回の木村拓哉の演技は良かったと、思っているのだが、同じ業界にいる人からみると、けっこう狙いが見えてしまうようだ。
 

ジャニーズ事務所の先輩、近藤真彦がパーソナリティを務めるラジオ番組『COME ON! ROCKIN’ ROAD』にマンスリーゲストで木村拓哉が登場。1月20日放送回では、同作を見た近藤が、興奮気味に持論を披露した。そのやりとりが面白い。ちょっと抜粋したい。彼はこのように感想を木村に言う。
 

「最初出てきて、髪の毛グシャグシャで、髭面で出てくるじゃん。刑事の役で。その時にパッて(ホテルマン仕様に)変わるじゃん。もう、あの出てきた瞬間に『あ、キレイになるんだろうな。コイツ』って思ったんだ。わざとらしいんだもん! あの汚さが、なんか」

木村が笑いつつ、「だって監督にやれって言われたんですもん!」と言い返すと、


「いや、わかるけど。あのパッてキレイになるのはさ、『か~! 木村やっぱ狙ってるわ、これ』と思った」と断言。「もう自分が今、どうやってバックのカメラで、引きで映ってるかっていうの、もうわかってるんだよ。頭の中にカメラがあるんだよ、木村は。あるんだって! あるの! だから背中でもう、『俺今こんなカッコよく映ってるんで』みたいな(笑)」


と、バックショットすらも計算していると指摘。さすがの木村も、これには「いやいやいや、そういうのはないですよ!」と抵抗を示したが、「いやぁ、それが良かったよ。カッコよかったって言いたいの、俺は。計算高い男だなぁ~」と、最後までチクリ。


疑い深い近藤に、思わずタメ口で「だから計算じゃないから!」と、タジタジで反発した木村だった。とのこと。

なんだかんだ言って近藤真彦は木村拓哉に相当に注目しているようで、微笑ましく楽しい。

参照:木村拓哉、「演技がわざとらしい」「計算高い」と大御所が『マスカレード・ホテル』バッサリ

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