大手住宅メーカー「積水ハウス」が、「地面師」グループにより55億円もの詐欺にあったという
ニュースは驚きだった。さらに、この事件の「地面師」グループは、未解決のまま時が過ぎている「新橋資産家失踪事件」の関与も疑われているというから、ぼくにとっては目の離せない
事件になった。


一方、主犯のカミンスカス(旧姓小山)操は、操(みさお)という名前から想像すると、女性のようにも聞こえてしまうが、男性だ。彼は海外逃亡中で、10月22日までに9人が逮捕された。そのうちの1人が、一番テレビやニュースで取り上げられている羽毛田正美(はけたまさみ)容疑者(63才)だった。


 

10月13日、主犯とされるカミンスカス操は羽田空港にいた。ファーストクラスのチケットを現金で購入すると、フィリピン・マニラ行きの飛行機に乗り込んだ。その三日後の16日に、「地面師」グループの男女8人が、偽造有印私文書行使などの容疑で逮捕された。海外逃亡中の犯人はなかなか捕まらない。彼を逃してしまったのは大きな警察の失態だった。
 

● ふだんは生命保険外交員
「あの女性(羽毛田容疑者)は、地面師の間では知られた人。今回とは別の詐欺事件でも、ニセの地主役で出てきていた。『またあんたか』と言ったことがある」(都内の不動産関係者)

ニセの地主役を演じたとして逮捕された羽毛田容疑者(66)は、ふだんは生命保険外交員とし
て勤務し、自身の子供らと暮らしていた。


近所の住人は驚きを隠さない。
「毎朝『おはようございます』と笑顔で挨拶して出勤していました。営業か何かの仕事だと思っていましたが、まさか地面師だったとは……」


羽毛田容疑者の自宅は、東京・足立区の下町情緒が残る住宅街にある、タイル貼りの3階建ての借家。羽毛田容疑者がここに住み始めたのは10年ほど前だという。

「旦那さんと離婚してここに引っ越してきたと聞きました。お子さんが4~5人いたんじゃないかな。シングルマザーで大変だなと思いましたよ。いちばん下の子は今もまだ成人したかしないかくらいです。逮捕され、テレビで顔を見た時は本当にびっくりしました。以前はふっくらとしていて柔らかい印象だったのに、すっごくやせていたので…」(近隣住民)


● 浅草のフィリピンクラブで連日豪遊
地面師とは、他人の土地を自分のもののように偽って第三者に売り渡す詐欺師のこと。
地面師は古く70年前の終戦後のドサクサにのさばった。日本全国どの町でも役場が戦災に遭って機能しない時代だ。地面師たちは勝手に縄を張って土地の所有者になりすまし、土地の登記をはじめとした関係書類をでっちあげた。そして、それを転売してぼろ儲けしていた。


そんな伝説的な詐欺集団が21世紀の現在、東京の都心で蘇っているという。この数年来、地面師による不動産のなりすまし詐欺が横行し、警視庁が対応に追われている。五反田駅から徒歩3分の一等地にある約600坪の土地に、すでに営業していない「海喜館」という旅館が建つ。昨年4月、犯人グループは偽造書類やパスポートなどを使って所有者になりすまし、総額100億円ともいわれたその土地の売却を積水ハウスに持ちかけた。書類が偽造されたものと判明したときには、積水ハウスはすでに契約額の大半を支払ったあとだった。


警視庁は今年7月、小山容疑者らの関係先を家宅捜索し、事情聴取を行なった。その際に携帯電話なども押収したが、確たる証拠がつかめなかったため、逮捕には至らなかった。

 

ジャーナリストの伊藤博敏氏がいう。

「小山(カミンスカス操)の1人目の妻はフィリピン人で、子供2人とともに現地で暮らしている。浅草のフィリピンクラブで連日豪遊していた小山は、英語が得意で海外での行動も容易。そういった事情を把握していたのに、警視庁はパスポートを押さえるなど、出国させないための措置を取っていなかった」


一方の小山容疑者は捜査の進展を察知し、周到に準備を進めたことが窺える。「9月に入ってから、本人の関係先として家宅捜索もされた都内の2つの高級マンションを売りに出した。ともに1億円近い金額で売却済みだという」(同前)                   


● 延々とホテル暮らし
ところで、今回の事件ですでに逮捕された“地主の運転手役”佐藤隆容疑者と“スカウト役”秋葉紘子(こうこ)容疑者、そしてフィリピンに逃亡した主犯格で“コンサルタント役”カミンスカス操(みさお)容疑者の3人に新橋資産家失踪事件の関与疑惑も浮上している。


新橋資産家失踪事件とは、2016年3月、東京・新橋の土地を所有していた大地主の高橋さん(60=当時)が突然失踪したことからマスコミの注目が始まる。


高橋さんの知人の60代男性Aさんが話す。「高橋さんはもともとこの土地の生まれ。彼女のおじいさんが不動産関係の仕事をしていたらしく、この周辺に土地を持っていたのです。お父さんは学校の先生ですが、早くに亡くなって、高橋さんはずっとお母さんと二人暮らしでした」


高橋さんの母親は20年以上前に亡くなり彼女は一人っ子となった。地元では土地持ちの資産家で知られ、借地代で暮らせるほどだった。


「帝国ホテルで母親の一周忌が行われたすぐあとだったと思いますが、第一勧業銀行(当時)から1億円下ろしてきて、そのおカネを鞄に詰め込み、自宅を出ていきました。それからは延々とホテル暮らしでした」彼女は帝国ホテルやプリンスホテル、渋谷エクセルホテルといった高級ホテルを転々としていた。葉山にもリゾートマンションを持っており、そこで過ごしていたこともあるという。
 

● 警察は『事件性はない』と発表
高橋さんは猜疑心が強く、人との交流を好まず、しかもアルコール依存性だった。酒を飲んで暴れて愛宕署の厄介に何度もなっている。酒のための寸借を、3万円、5万円と重ね、愛宕署員に付き添われて家に帰った2016年3月12日以降、まったく姿を見せなくなったため、心配した町内会長が、愛宕署に「失踪届」を提出した。


高橋さんは、2016年10月に自宅近くの通路で白骨死体として発見された。

「死体発見当初、警察は『事件性はない』と発表したが、失踪前に高橋さんは周囲に『私は土地なんか売ってない。印鑑も押してない』と話していたんです。でも、高橋さんが所有していた時価総額約6億円の土地が地面師グループによって売買されていたんです。事件性がないわけありませんよ」と事件事情通。


捜査関係者は「高橋さんの失踪後に、ある女が高橋さんのパスポートを偽造して本人に成り済ましたとみて、捜査2課は女の行方を追っていたんです。その成り済まし役が今回、積水事件で(成り済まし役を)スカウトした秋葉です」(捜査関係者)


「74歳の秋葉容疑者は、新橋資産家失踪事件では60歳の高橋さんに成り済まし、アパの詐
欺事件では成り済まし役の世話役。積水ではスカウト役。まるで、演技派女優ですよ。今回、
監視役で逮捕された佐藤容疑者は新橋資産家失踪事件では、不動産会社の代表でした」(事情通)


アパの詐欺事件で、活動した「地面師」グループが他にもいろいろな不動産の詐欺にかかわっているとしたら、表だってニュースになっていない事件がまだあると予想される。ぜひ、全貌をはっきりさせて解決してほしい。さらに関東連合の見立真一のように海外に逃亡すればなんとか逃げ切ることができてしまうという例をこれ以上増やさない意味でも、小山(カミンスカス操)は、ぜひ逮捕してほしいものだ。


参照:新橋「大地主女性」が突然の失踪〜ちらつく"地面師"の影
     積水ハウス事件「複雑な地面師グループ」の全貌が分かった
     積水ハウス事件の地面師3人 16年の新橋資産家失踪事件にも関与?
    積水ハウス55億円詐欺事件 地面師に高飛びされた警察の失態

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