アントワン・フークア監督の「イコライザー2」は、前作「イコライザー」から4年ぶりの作品。
本作は元CIAエージェントで、表向きはタクシー運転手として働くマッコール(デンゼル・ワシントン)が主人公。
彼は表の顔とは別に、世の裁けない悪人を19秒で抹殺していく。マッコールは、古くからの友人を傷付けられたことで復讐の鬼と化す。
当映画はアクション映画なのだが、前作同様にアクション以外の場面ではまるで文芸作品の
ような味わいを持っている。また、デンゼル・ワシントンの演技は主人公の信念に基づく真っすぐな行動とキャラクターが、こちらに真から伝わってくるかのように自然でうまい。
今回の作品では、マッコールが自分の住むアパートの塀の壁に書かれた落書きを雑巾や
ブラシで消している姿を見て、同じアパートに住む青年マイルズが「そんなことをしても無駄だよ。」「それに誰かが消すさ」的な発言をする。
それに対してマッコールが反論。「“やるはず”と“やるだろう”は違うぞ、マイルズ」「誰でもできるが誰もやらない。誰かがやるべきなんだ」と哲学的な意味を含んだ言葉をかける。やがてマッコールが何度か青年と会話をしながら、少しづつ心を通わせていく。最後に絵心のあるマイルズは、落書きを消した後に実に見応えのあるイラストをその壁にプレゼントする。この壁の落書きを通しての何気ないシーンが、本当に味わい深くて心に残る。
アクション映画のほとんどは、観終わった後にスカッとしたのだけれど、ただ体を「面白さ」が
スリ抜けた感じの場合が多い。しかしこのシリーズは違っていて、心の片隅に感動が消えず
に残り続けている。
ところで、主役のディゼルワシントンは、このように続編に出ることは初めてとのこと。本人はインタビューでこのように説明している。
「たまたまそうなった。今までやらなかった理由は、それほどオファーが来なかっただけだ。
来ても筋書きが変とかね。でも、今回は違ったんだ。脚本がとてもよく書けていた」と説明。
「『マルコムX 2』なんて作れると思うかい? 続編に向かないんだ。『フェンス2』も無理だ」と、にこやかに語った。
参照:D・ワシントン「イコライザー2」まで続編に出演しなかった理由は?
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