『ピル』と聞くと、ぼくはどうしても女性の避妊薬をイメージしてしまう。しかし、政治社会学者の堀内進之介氏がサイト「現代ビジネス」で述べている『道徳ピル』という用語で使っている『ピル』は、単純に丸薬の方の意味で使っている。
 

ようは、「飲むと道徳的になりますよ。」というありがたいような怖いような迷惑な薬があって、それをどんどこ勧める科学者もいて今後、生活に浸透してくる可能性があることを指摘している。


● 道徳性や知性を「改造」「改善」
現代は、過去から続いている民族紛争や宗教対立、飢餓、内戦、性差別等々、さまざまな問題が山積している。こうした現状に対して、いま、「道徳ピル」と呼ばれるクスリを用いて、人間の潜在的な人種的偏見や攻撃衝動、リスク回避の傾向性などを抑制し、協調性や共感を増進させることで社会的な課題に対処すべきだと主張する者たちがいる。

 

これまで、人間は、教育によって道徳的な性向の向上を目指してきた。しかし、それには時間がかかり、その効果も限定的だ。そのため、Persson やSavulescuなどの科学者たちは、科学技術の力を借りて、道徳性や知性といった人間本性(Human Nature)を「改造」「改善」することで、そのような教育の目的を底上げしようというのだ。

 

とはいうものの、『そう簡単なことなのか?』という疑問は当然湧き出てくるわけで、たとえば、その薬の効果を確認したテストもずいぶん規模の小さい片寄ったものにぼくには思える。


● 男子大学生58人のテスト
ゲーテ大学の経済学者Michael Kosfeldらの研究グループは、2005年に神経ペプチドである「オキシトシン」は、闘争欲や恐怖心を鎮め、他者との親和的で協力的な行動を促進する作用があるという研究結果を報告している。この研究結果は、スイスのチューリッヒで、健康な男子大学生58人を対象に行われた実験から得られたものだという。

 

しかし、その記事を読んでもぼくの頭には疑問符が・・・・・・。
たったの58人?それも男子大学生という限定された性別と年代。実験の内容も今一つ説得力に欠ける何か漠然とした内容。その実験の詳細はここには詳しくは記載しないので、興味のあるかたは、リンクを辿って読んでみてください。

 

2ちゃんねるでも、この件はとりあげられており、肯定的な意見より否定的な意見が圧倒的に多いようだ。
「現代のロボトミーだな」「或る意味、精神を操る新タイプの化学兵器だな 」
「また1歩SFの描く恐怖の未来社会が近づいたな 」「差別主義者を差別するなよ! 」


この「道徳ピル」を良しとする人は、『薬でなんでも解決』というスマートな幻想にしばられているようだが、人間の内面的な事はそう簡単にはいかないだろう。
しかしこの考えもぼくの薬に対する一つの偏見なのか?
ぼくも協調性と偏見を少しでもなくせるかどうか、『道徳ピル』を飲んで自分自身の結果を確認してみようかな?


参照:飲めばモラルが向上するクスリ「道徳ピル」をご存じか

PR:私は薬に殺される