クリストファー・マッカリー監督の「ミッション:インポッシブル フォールアウト」は、敏腕スパイの活躍を描くシリーズ第6作目の作品。監督は、傑作ミステリー「ユージュアル・サスペクツ」(95)でアカデミー脚本賞を受賞している。

 

何者かがプルトニウムを盗み、3つの都市の同時核爆発のテロを画策。CIAの特殊チームIMFに所属する敏腕スパイ、イーサン(トム・クルーズ)とIMFチームは、それを未然に防ぐミッションを受けることに。タイムリミットが迫る中、イーサンらは手がかりがほとんどない正体不明の敵の行方を必死に追うのだが……

 

映画は、トム・クルーズのスタントなしで挑んだアクションも評判になり、大ヒットしている。
「ぴあ」調査による2018年8月1日、3日、4日公開のぴあ映画初日満足度ランキングは、『ミッション:インポッシブル フォールアウト』が第1位になった。全米では7月27日に4,386館で封切られ、オープニング興収6,150万ドル(約68億円)を記録して初登場No.1を獲得。この成績は、シリーズ史上最高の全米オープニング興収を保持していた第2作『M:I-2』(2000)の5,784万ドルを大きく上回った。

 

トム・クルーズはもう何作も映画に出ているし、後は何も気にせず遊んで暮らせるだけの
お金は稼いだだろう。それなのに、56歳にして気を抜くと死に結び付く危険スタントを映画の中でいくつもこなしているのは本当にすごいことだ。自己顕示欲が強いといえば、それまでだが、他の人に簡単に真似はできないだろう。

 

ラジオで映画評論家の町山智浩が言っていたのだが、トム・クルーズがヘリコプターで飛ぶ
スタントシーンがある。これも本人がヘリコプターを自分で操縦している。このためにトムはわざわざ何十時間もかけてヘリコプターの操縦学校に通ってちゃんとライセンスを取っているという。

 

また、保険会社との条項で「スタントは主演俳優は一切やってはいけない」というものに通常、サインをする。主演だから途中でケガしたら撮影が中断したり映画が流れてしまう。そうすると莫大な損害になって保険会社がそれを支払わなきゃならない。そのために、損害を見込んだ何億という保険金を逆にトム・クルーズ本人が払っているという話をしていた。

 

払っているから保険会社がOKを出している。もしそれでケガしなかったら、保険会社が儲かるから。それと同じ方式をとった人がシャーリーズ・セロン。彼女もスタントを自分でやっている。『アトミック・ブロンド』でアクションを2シーンを除いて全部自分でやっているとのこと。


ぼくは、初日の3日に地元の映画館のナイトシアターに行ったのだが、前列の2列を除いて全て席が埋まってしまったのには驚いた。今までぼくが行ったナイトシアターで、埼玉の地元でこんなに混んでいたのは初めてだった。いかにミッション:インポッシブルの人気が高いかがわかる。


ストリーは、監督がスリラーの得意な人のせいもあるかもしれないが、物語が意外な展開になるのがいい。こちらの予想している話の展開を要所、要所で逆転してみせてくれる。格闘シーンも迫力があり、トムクルーズの走りの速さと動作の機敏さも美しさを感じさせるほどだ。またラストのヘリコプターと崖をからめた戦闘のクライマックスのアクションもすごかった。

 

格闘シーンではトイレでのプロトニウムをめぐっての3人の戦いの場面が見応えがあり、特に敵役のアジア人のケリの速さなどにはしびれた。あの場面の興奮をもう一度味わうために再度、映画を見たいくらいだ。

 

2時間27分という上映時間は、緊張感を保つ意味で言うとぼくとしてはもう少し短めのほう
がいい。しかし、いろんな意味でサービス満点のこの映画は、観たら即忘れてしまう単純な娯楽映画ではない。観た後に余韻を持たせるし、さらにトムから『自分の限界を超えた挑戦』と
いう前向きな元気をもらえる貴重な映画体験となった。