S.S.ラージャマウリ監督の「バーフバリ 王の凱旋」は、2017年日本公開の「バーフバリ 伝説誕生」の続編にあたる。
「バーフバリ 王の凱旋」は、インド歴代興行収入でNo.1の記録を叩き出したという。
今年6月に公開されていたのだが、見逃していた。日曜日に、池袋の文芸座にて「バーフバリ 王の凱旋」と「バーフバリ 伝説誕生」の両方が贅沢にもいっしょに上映されていた。台風も通り過ぎて天気も良かったので喜んで観に行った。30分ほど前に劇場に行ったにもかかわらず、ホールの入り口には上映を待つ列ができていて、その人気の高さを実感した。
両方の作品が共に面白いのだが、ぼくとしては、2作目の「王の凱旋」のほうに軍配が上がる。
「バーフバリ 王の凱旋」は、1作目で描かれたシヴドゥの父親にあたる英雄バーフバリが、国母シヴァガミから王位を託されて、身分を隠し旅に出る。そこで将来の伴侶デーヴァセーナと出会い、子ども(シヴドゥ)をさずかる。その子供が青年になってから、「父バーフバリはなぜ殺害されなければならなかったのか?母デーヴァセーナはなぜ25年もの間、鎖に繋がれていたのか?」を知る。その原因となった相手に復讐に立ち上がり戦いに突入する。
ストリーは、いたって単純でマンガ的な展開もあり、リラックスして見ていられる。
ぼくが感心したのは、女性がとても美しく色っぽく表現されているところだ。1作目の「バーフバリ 伝説誕生」では、女性の身体に青い蝶が止まり、その蝶が体から離れ、ひらひら飛んで女性が姿を現す。バックには、みごとな滝が流れておりそれをバックに、衣装を風に舞わせてインド音楽で踊る。幻想的な美を感じた。
「バーフバリ 王の凱旋」の方でも、最初にバーフバリが将来の伴侶のデーヴァセーナと出会う場面では、家来に運んでもらった籠の中に居て姿が見えない。賊が現れて、その籠を槍で襲われる。賊が覗くと、すでに女王は籠の中にいない。そしてまず女王の眼が見える。じつに大きく綺麗な眼だ。次には口元のアップ。なんとも整って美しい唇の形とその輝き。その後で、お姫様のような可憐なかわいらしさにもかかわらず、実にあざやかな格闘シーンの連続で敵を倒していく。
このように、女性の美しさや魅力がより際立つように作られている。
そのほかにも、象が何匹も画面に現れるのだが、その迫力にも圧倒される。象が暴れたら、建物の柱など鼻を巻きつかせ、へし折ってしまう。その一方で、象の機嫌のいいときは、主人公は鼻に巻かれて、象の背中まで上げてもらい、象にまたがる。こんなシーンも昔、映画で見たと思うのだが、今また改めて見ると新鮮だ。
さらにアクションシーンもダイナミックで飽きさせない。映画評論家の宇多丸が、ラジオで語っていた。
『「ストーリー、感情と、その空間の舞台立てと、アクションが一致する」ってこれ、「映画的面白さ」のキモですよね。それがすべて入っている、ということですよね。』
『「とにかく「映画における面白さとは何か?」っていうのを研究し尽し、考え尽くしたのであろう、要は映画的面白さのための仕掛け、アイデアが、これでもか! とばかりの質と量で投入されているわけです。』
それに、過去の映画のいいところをうまく作品に取り込んでいる。史実を描いた「ベン・ハー」やディカプリオ主演の「タイタニック」、「007」シリーズなどの一場面を思い出した。
ラージャマウリ監督は、「今でも寝室にポスターを貼っているほどのブルース・リーのファンとの事です」との事。随所に見られる格闘技的な場面は、監督が大好きなブルース・リーの作品にも想いを馳せて観ると新たな発見があるのかもしれない。
この作品は既にレンタル可能だが、スケールが大きいのでもし劇場で見る機会があったら、ぜひスクリーンで観てほしい作品。
パワーをもらえて夏バテもフッ飛び、見て損はないパワー全開の映画です。
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