◎「ハスラー2」 1986年 アメリカ


 マーティン・スコセッシ監督の「ハスラー 2」を見直した。
なぜかスコセッシ監督の作品は、時間が経つともう一度、見たくなる。「ヒューゴの不思議な発明」や「タクシードライバー」などは、いますぐにでも再度見たいと思う映画。
 

ハスラーの本来の英語的な意味は、「詐欺的な手段により金銭的利益を得るプレーを行う人」。ビリヤードプレイヤーそのものの総称ではないが、日本では映画『ハスラー』『ハスラー2』の影響によって、ビリヤードプレイヤーを指す言葉として一般的に用いられているとの事。
 

「ハスラー2」は、1961年制作の「ハスラー」の25年目の続編。前作のロバート・ロッセン監督の「ハスラー」はポール・ニューマンが主役でこの作品も忘れられない傑作。むしろ、映画ファンのなかでは前作の評判の方が高いようだが、ぼくはどちらも同じように好きだ。
「ハスラー2」では、61歳のポールニューマンがとてもかっこいい。彼は当映画でアカデミー主演男優賞を受賞した。


物語のスタートの場面で、エディ(ポールニューマン)が酒場でお酒の説明を女性にしている。
「色だよ、色を見ろ。 色が決めてだ。」
「手で触れるような濃く・・・舌の上でゆっくり転がす。シングルモルトだ。」


そこに何度もゲームの掛け金のお金をねだるエディの知り合いの手が彼の肩に触れる。
「へい!ジュリアン、仕事ちゅうだぞ」
「おれもだ」と、ジュリアンは説明する。
「1ゲーム20ドルにアップだ。 ゲーム5ドルで30ドルへこんでいる。わざと負けたんだよ」


エディはいらだってそのままジュリアンにお金を渡すのだが、それが何度か重なり『いったい誰にてこずっているのか?』と女性から目を離しビリヤード台の方へ視線を移動する。若者のヴィンセント(トムクルーズ)がいて、元気いっぱいにビリヤードをしている。彼に気持ちが持って行かれると、女性にお酒の説明どころではなくなる。
スタート場面でのトムとポールの二人の出会い・・・・そこから、物語にどんどん引き込まれる。


トム演じるヴィンセントと、ポール演じるエディの、考え方や行動の違いがやがて別々の道を歩ませる。
ヴィンセントは、ゲームで相手に挑発されると自分の本来の力を出して技術をみせつけたくてしょうがなくなる。一方、エディはゲームの勝ち方として、相手に油断させて、より多くの掛け金を自分の手に入れるプロとしての戦いを指導する。
 

そして途中で、エディはプライドからプロとして再出発するきっかけとなる太っちょ俳優のフォレスト・ウィテカー演じるアモスと闘かう。このシーンが忘れられない。エディが、アモスに問い詰める。
「お前ハスラーだな、アモス?」
「何いってんだい、エディー。ついてたんだ。」
「お前ハスラーだろ?」
ふざけていた態度から一変し、表情に緊張が走り、アモスは逆にエディに問いただす。
「おい、金を払いたくないのか?じゃあ持ってろよ。もう忘れるよ。でかい負けだから。俺が負けた時、俺は払ったけど。俺は……」


ぼくは、この映画で俳優のフォレスト・ウィテカーが忘れられなくなった。あまりにもうまい俳優だ。その後、彼は「 バード 」「ラストキング・オブ・スコットランド」では主役を演じている。


ヴィンセントと同行する恋人カルメンを演じたメアリー・エリザベス・マストラントニオも、気になる女優だ。
若いヴィンセントトムが好きなような、そうでないような・・・・・・、逆にエディの方に気があるように見えることもある。
映画の中では、ベットの上で下着姿でお色気ふりまいて無頓着なのでエディにしかられる。
「いいか俺はお前のパートナーだ。変なまねはするな。」
「浴室は閉めとけ。彼はサラブレットだ。君が世話し俺は走らせる。俺と君はビジネスだ。」

彼女は、その後に「アビス」「隣人」「天国の約束」「パーフェクトストーム」などに出演した。


この映画を見ると、むしょうにビリヤードをやりたくなる。
この映画がきっかけで、ビリヤードというレジャーが認知され、バブル時代の若者がビリヤード場に押しかけ、プールバーという名前の新たなビリヤード場が次々オープンしたという。

またこの映画の影響でナインボールが発的人気を博した。「ナインボール」は1番から9番までのカラーボール9個と手球1個の計10個の球を使い、手球を番号順に的球に当ててポケットに落としていく。最終的に9番のボールを落としたプレイヤーの勝利となるとのこと。


映画でのビリヤードの玉を突いてはじける時のブレイクの音。
これがまた、たまらない効果音となってドラマを魅力的なものにしていた。


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