四千人の女性に三十億円をつぎ込んだ」と豪語してきた、若い女性が大好きな金持ち、野崎幸助さん(77)が自宅で5月24日に亡くなった。遺体からは致死量の覚せい剤が検出された。前回にも書いたが、僕は野崎さんの著作「紀州のドン・ファン」を死亡事件でこんなに有名になる前に、夢中になって読んでいた。

 

とにかく飽きさせないのだ。
1冊目の本の評判の良さで、続編の「紀州のドン・ファン 野望編」も出たが、やはり1冊目の面白さには及ばなかった。

 

1冊目の本で一番面白いと思った部分は、野崎さんが農家に焦点を絞ったコンドームの訪問販売で財を成した部分。体を張って、農家のおばちゃん達を相手に孤軍奮闘しながら稼いでいった描写はユーモラスで、本当に面白かった。野崎さんは、そこでの経験でこのように述べている。

 

女の性欲というものが底なし沼であるということを、私はこの商売でつくづくと知らされました。製品の説明を聞いている様子で、相手が実演を求めているのかどうかもわかるようになっていきました。やはり30代から40代の女性が、もっとも性に貪欲なようでした。


ところで、注目を浴びている野崎さんの55歳年下の奥さんは、夫に対する愛情の感じられないことで、印象が悪い。彼女は地元の高校を卒業後、美容専門学校に入学している。友人が証言する。

 

「とにかく金遣いが荒くて、お父さんは開業医で家が大金持ち』と話していました。身に着けているものは、学生のときからシャネルだらけ。
学校で先生に『帰れ!』と怒られたら『あ、帰るわ』と出て行って、午後になったら両手に買い物袋をブラ下げて帰ってきたこともあります。ホスト遊びでも有名でした。」

 

もう一人、注目を集めている人物、謎の家政婦さん。
野崎さんには、月に10日ほど田辺市の自宅に通い、家政婦として食事の世話をしてくれる女性がいる。その女性・幸代さん(仮名)は、野崎氏と同じ和歌山県の生まれ。地元の高校を卒業後に、帝国ホテルに就職、数年で退社し、夜の歓楽街に足を踏み入れた。

 

10数年前に幸代さんが六本木のダイニングバーを開店させたころに、婚姻関係にあった夫がいたが、覚せい剤で2~3階逮捕された末、彼女に三行半をたたきつけられた。出所後、金を無心するようになったという。

 

家政婦の幸代さんは六本後のスナック「P」の雇われママさんで、野崎氏から「自分が死んだら4千万譲るという遺言を書いている」と言われている。スナックは約2年前に閉店した。野崎さんの会社の元従業員は、幸代さんからこう聞かされたという。

 

「幸代さんは笑い話として、社長との”深い仲”を語ることがあった。なんでも、幸代さんの父が野崎社長に借金を作ったとき『返済が滞って、あたしが身体で返したのよ』って。ふたりの掛け合いを見ても幸代さんは単なる家政婦ではなく、野崎社長にちゃんとモノを言える立場なのです」

 

今までの事件の周辺に関する情報から推測すると、3人が犯人候補になるようだ。
「奥さん」か「家政婦」かその「元ダンナか」

実にシンプルのように思えるのだが、捜査の進捗を見るとそんなに簡単なものではないようだ。週刊文春6月28日号で、野崎幸助氏の会社の従業員はこう発言している。

 

「警察からは『(解決に)1~2年はかかりそうだが、協力をお願いします。』と言われています。警察はビール瓶だけではなく、自宅からティッシュペーパーやトイレットペーパーも一枚残らず押収していきました」

まだまだ事件の続報はつづきそうだ。