マルティン・コールホーベン監督の「ブリムストーン」のみんなの映画レビューを参照すると、とにかく残酷であることがクローズアップされている。ベネチア国際映画祭のコンペティション部門にノミネートされたドラマだというのに、ここまでみんなが『内容のすばらしさよりグロさを強調するのはなぜだろう?』と思い、文芸座に先週、観に行った。
ストーリーは充分に面白い。
しかしその内容の面白さより『本人の腹わたを使って首を巻く』などがあまりにも強烈なので、まるでホラー映画を味わっているかのような気にもなってくる。個人的には舌を切られた友人の身代わりとして生きる為に、医者に依頼して、舌を切ってもらおうとするシーンが怖かった。医者もためらってできないので、自ら舌を出して切ろうとするシーンが、直接には表現していなかったが、一番痛々しかった。想像するだけで恐ろしい。
この映画には神の教えという名目に名を借りて、自分の欲望の為に奥さんをムチ打ち、金属の拘束具を頭部にはめこみ、さらに娘にも性的な欲望のはけ口にしようとする、とんでもない神父がでてくる。
但し映画にこの神父が出てきたときに、「なんて腹の底まで響いてくるいい声をしているんだ!」と、ぼくは感心してしまった。
いい声なので、教会で賛美歌を歌ってもなかなか聞かせる。さらに能弁家で、見た目もすらりとしていて一見、いい男だ。しかし心の中はどす黒い悪魔という実に映画的にとても映えるキャラに仕上がっていた。
年の離れた夫と2人の子供と暮らす女性・リズを演じたダコタ・ファニングも、過酷な運命と戦う姿がとても美しかった。彼女の表情の演技にしびれた。思えば「天才子役」と言われた彼女はあっとゆうまに大人になってしまった。スティーヴン・スピルバーグ監督の「宇宙戦争」で見たときは、キャーキャー叫びながら宇宙人から逃げる可愛くもうるさい幼き娘だったのに・・・・・。
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