◎「ザ・コンサルタント」2016年 アメリカ
原題 THE ACCOUNTANT
監督:
ギャビン・オコナー
出演者:ベン・アフレック、アナ・ケンドリック、J・K・シモンズ、ジョン・バーンサル

 

体格はいいし、顔だって悪くない。でもなぜか心に染みてこない「のぺっ」とした印象
が残る俳優、ベン・アフレック。だから、スリラー映画の「ゴーンガール」(2014)では、

妻がじゃまで愛人の為に殺したのではないかという疑惑の人物が実にはまり役

だった。でもはまり役だったからといって、好きになったわけではない。

と・・・・・・、どこまでも好きになれない俳優のベンアフレックだが、今回の映画「ザ・コ
ンサルタント」を観て、初めて彼がカッコイイと思った。
今回の映画は、不思議な味わいのする映画だ。

 

会計士のクリスチャン・ウルフ(ベン・アフレック)は、幼いころから自閉症だが天才的

な数学の才能があった。軍人の父の教育により、シラットというインドネシアの武術
を習い殺人マシーンのごとき戦闘能力を持っている。そんな彼がロボティックスという
企業の監査に入る。協力者として会計士の女性ディナ(アナ・ケンドリック)を紹介さ
れるが、一人で十分だと、その申し出を断る。

 

そして、15年分の帳簿から見知らぬ出金の原因を徹夜で突き止める。会計士のディナ

は、彼を称賛する。でもなぜか会社から依頼を打ち切られてしまう。そしてその日から、
会計士ウルフは、何者かに命を狙われるようになる。

 

この映画はスーパーヒーローものでありながら、主人公の現在の姿の謎を、複雑な過去
と自閉症を元に丁寧に描いている。会計士で、暗殺者のような技術を持ち、心に病を
もっているヒーローというのはこの映画が初めてなのではないか。

 

彼は、監査の仕事にかかる直前に、両手の指先に「フッ」と、息を吹きかける。これが
まるで何かの儀式の前ぶれのような動作。この何気ない動きのワンシーンが、おまじな
いのようで心に残った。
そして帳簿を調べながら、部屋中の窓に壁に数字を書き込んでいく。その熱中する姿が
魅せてくれる。

また、この映画は会計士ウルフが外で弁当を食べているところに、会計士の女性ディナ

が話しかけるのだが、やりとりがどこかユーモラス。
そもそも世界中の危険人物の裏帳簿を仕切り、年収10億円を稼ぎ出す会計士が、持参

の水筒を片手に、外で弁当を食べている図が面白い。
ディナを演じた女優のアナ・ケンドリックは「ピッチ・パーフェクト」(2012)で主役だった
女性。そんなに美人でもないのだが、徐々に惹きこまれる魅力を感じさせる女性だ。

 

監督はギャビン・オコナーで、『エターナル・キス』(2007年)、『プライド&グローリー』

(2008年)、『ウォーリアー』(2011年)がある。

「ユーモアを入れたのは監督のアイデアなのでしょうか?」と、インタビューアに聞か
れ・・・・・

 

オコナー: そうですね(笑)。脚本の段階から驚きの展開もある、パズルのようなス
トーリーだったのですが、私は本作をシリアスでリアルにすると同時に、楽しい作品
にしたかったんです。

 

なので、ベンと一緒にユーモアを盛り込んで行きました。ただ、そのユーモアはキャ
ラクターのセリフではなく行動で、わざとらしくない自然な形で表現しようと決めて
いました。私のすすめもあって、ユーモラスなシーンの多くはベンの即興です。

 

また、これだけ完成した作品だと、続編が見たくなりのだが、現在のところ未定のよ

うだ。

 

オコナー: スタジオと話はしているんですが、スケジュール的に忙しいのと、きっと

ベンは私よりもさらに忙しいと思うので(笑)、かなり先になると思います。そんなこと

もあって、いま脚本家たちと相談しているのはTVシリーズ化です。


ただ、クリスチャン・ウルフを別の俳優が演じるのではなく、彼のオペレーターと彼と
同じように障がいがある凄腕のスペシャリストのチームが登場する物語にしようと考え
ています。
さらに、チームのうちのひとりがクリスチャン・ウルフと同じ会計士であり、

師弟関係で、ベンが出演できるようにしようとも思っています。

 

ところで、この映画の不思議な味わいは、いろいろな要素のミックスにあると思う。
アクション映画でもあり、家族の物語として見れ、さらにジャンルはミステリーに分類
されたりしている。この異色などこかトンデモ映画に分類されかねないギリギリのとこ
ろがぼくには面白かった。

 

参照:映画『ザ・コンサルタント』のギャビン・オコナー監督にインタビュー。 

PR:ゴーン・ガール 上 (小学館文庫)