「まんしゅうきつこ」というペンネームは一度、聞いたら忘れられない。
もともとは「マン臭きつ子」で、ツイッターで変なリプライが来ないように相手がドン引きしそうな名前にしたのが始まりとのこと。
でも弟をはじめ家族から「いくらなんでもそれはあんまりだ!」とクレームが多数寄せられたので、「まんしゅうきつこ」とマイルドに改名し、現在に至るという。
某出版社の編集さんから「やっぱりアレですか、マン臭、きついんですか?」
と、聞かれたエピソードもマンガの合間にエッセーとして載せている。
このインパクト大のペンネームのわりには、彼女は綺麗な顔をしている。女医さんとか女教師の役が似合いそうな雰囲気だ。
彼女の漫画はどういうきっかけだったか忘れてしまったが、何かの検索で彼女のサイトがひっかかった。何気にサイトのマンガを読んでみて、心を鷲掴みされた。今まであまり味わうことのできない強烈な自虐的な味わいの私小説的物語だった。
そんな彼女の近所の本屋においていた実録マンガ「アル中ワンダーランド」、2ページ読んで面白いので買う事にした。
読んでいると、笑いと哀しみに両方セットで襲われる。
巻末に、アル中鼎談とゆうタイトルで、まんしゅうきつこと中川淳一郎と小田嶋隆が対談しているのだが、これがまたマンガと同様に興味深い。
お酒を飲むのが好きな人は、たいてい一個か二個は想いだしたくもない酒の苦い想い出を持っているものだ。でも、そもそもその想い出のとらえ方が彼女の場合は違っていることがわかる。以下、その対談から抜粋。
中川 あと、オレが一番嫌なのが、記憶を飛ばした翌日、一緒に飲んでいたであろう人に電話をかけるときですね。そこで自分が記憶を失ってどんなバカなことをしでかしたかを聞くんですが、すごく自己嫌悪に陥りますよ。