作家の佐藤優は、見た目がごっつくてみるからに人柄が堅そうだ。
書く本も政治について語った本が多く、本人同様に内容も堅そうなので、読
むのは避けていた。
でも、『知の教室 教養は最強の武器である』という文春の文庫本は、ぼくの
好きなホラーマンガ家の伊藤潤二との対談まであったりするので、手に取っ
て読んでみた。
佐藤優が伊藤潤二の漫画に出会ったのは、女子高校生の一群が発した言葉
がきっかけだった。インタビューにてこのように語っている。
「御茶ノ水の駅から中央線の快速に乗っていたら、女子高校生の一群が乗っ
てきて、『わー、ホントに怖い』などと盛んに言っている。『なんだろう』と興味を
引かれて彼女たちの持っているコミックスの表紙を見ると、『うずまき』とタイト
ルが書かれていたのです。その時はそれきりでしたが、一週間ぐらい経った
夜中に突然『あのマンガ読みたい』と思い、アマゾンで注文したんです。全三巻
をそれこそむさぼるように詠みました。」
ところで、佐藤優は必要以上に作品を深読みする。
伊藤潤二に、「うずまき」を描いた時期を聞き、彼が「1998年から99
年にかけてですね」と、答えるとその後で、佐藤優のうずまき論が以下の
ように展開される。
「なるほど。バブルが崩壊し、金融システムが破綻の危機に瀕していた時期
ですね。当時の社会の心理を、伊藤さんが天才の発想でつかんだ作品だと
いう気がしました。
秀一のお父さんがうずまきにとり憑かれてしまい、渦巻の入った着物、
巻貝やアンモナイトの化石など、ありとあらゆるうずまき状のものを蒐集する
ようになるくだりがありますね。やがては仕事にも行かなくなり、一日中
書斎で集めたものを眺めているようになる。
あれなんか株式投資に熱中して、仕事もせずに、一日中日経新聞やら
短波ラジオにかじりついている人の姿を連想させて、鬼気迫るものがあり
ました。
『うずまき』という作品は、今いろんな形で読みかえされなければならないと
思います。ワーキングプアの問題にしても、自分以外の人間がみんな馬鹿に
見えるという心理にしても、非情に象徴的な形で描かれていますね。
要するに人間はいろんな渦に巻き込まれて、途中では引き返すことができな
くなり、いつかは破綻に至る。で、もう一回やり直しになるという構成は、
たとえば高橋和己の『邪宗門』にも通じるような宗教的雰囲気があります。」
「そこまで深い事考えて描いたわけではないんですが・・・(笑)。」と伊藤潤治
が言っているのがおかしい。
他にも意外にくだけた事も言う人で、西木正明のロシア人の友達が「オレの
国ではあそこがいちばんでかいのがいちばん威張れる」と言ったという
発言に、佐藤は「僕のみたところ、ロシア人のあそこがそんなに大きいとい
う印象はないんですよね。ただ玉はでかい」には笑った。
佐藤優は、毎月300冊の本を読むという。
今までに本代として使った金額は、学生時代が総額500万円くらい。卒業
後は、月に15万円で年間180万円、それが30年だから、ざっくり6千
万円は、本代に使った勘定になるという。
数学の問題を解くのが気晴らしの一つだという。理由は、仕事とはまったく
違う種類の頭を使うことで脳が活性化される。
朝5時に起床し、起きたその瞬間から仕事にとりかかるとの事。
佐藤優は知れば知るほど、実は怪物的で面白い人物だ。
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