「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」
(原題:THE IMITATION GAME )
監督:モルテン・ティルドゥム 2014年
キャスト:ベネディクト・カンバーバッチ、キーラ・ナイトレイ、マシュー・グード。
「コンピューターは、元々は軍事用に開発された機械が始まりだった。」
と、いうのは、本で読んだことがあった。でも、その事実の裏にはこんな
にも悲劇的なドラマが内包されていたとは、この映画を観るまでは思いも
よらなかった。
映画は、一人のイギリスの実在した天才数学者アラン・チューリングの
人生を描いている。
第二次世界大戦中に、ドイツ軍の暗号・エニグマを解読するために、雇わ
れた数学者チューリングは、強すぎる個性の為に暗号解読のチームの中で
孤立してしまう。
それでも苦労の末に、徐々に仲間の協力も得られるようになり、暗号解読
機(後のコンピューター)を制作する。彼は、それに早世した親友の名前
を用い「クリストファー」と名付けた。
この暗号が解読されたことにより、ドイツ海軍のUボートの位置などを把握
できるようになり、イギリス軍や連合軍は情報戦に勝利し、終戦を2年ほ
ど早めることができた。
そんな研究の日々の中で、同僚で数学者・暗号解読者のジョーン・クラーク
に結婚を申し込んだが、婚約期間は短かった。同性愛者であることをフィ
アンセに告白しても、彼女は動じなかったといわれているが、チューリン
グのほうがこのまま結婚はできないと別れることを決心した。ジョーン・
クラークはその後、別の男性と結婚している。
チューリングが、同性愛者であることが、当時の社会的事情により、犯罪
者扱いされてしまい、彼の人生は悲惨なものに変わっていく。
その後、41歳の若さで青酸中毒にて謎の死を遂げ、警察はこれを自殺と
断定した。
ファーストシーンは、近所の通報で、数学者チューリングの家に泥棒が
入ったらしいと聞きつけた二人の警官が訪ねてくるところから始まる。
チューリングは、横柄な態度で警官を追い払ってしまう。
一人の警官は数学者のその態度に「生意気な奴でしたね」と、当然の感想を
口にする。でも、もう一人の男は、その態度から何か知られたくない秘密を
本人が抱えている事に気が付く。そこのシーンで、ちょっとフイを突かれた。
ぼくも単純に、その場面を見て、『いくら警察でもこんな態度をとられたら、
腹がたつだろうな。』くらいにしか思っていなかったからだ。
同じ人間のわずかな時間の動作や対応を見ても、これだけ見方に差がつくの
だという事を突き付けられたような気がした。
ぼくは、映画館の中で気を抜いて座っていた姿勢を正し、座り直した。そし
て、ちょっとワクワクしていた。
『これはひさびさに相当、面白そうな映画だ』と・・・・・・。
まずは、科学者を演じたベネディクト・カンバーバッチがうまかった。独得
な表情でどこか悲しげで、人との間に壁を作っていそうなとても繊細な性格
が、こちらにじんわりと伝わってくる。
こんなにも、役にぴったりはまっている俳優はなかなかいないだろう。
演じたカンバーバッチは自ら脚本に惚れ込み、また生き残っている親族を
訪ねて役作りの参考にしたという。
また、少年時代を演じたアレックス・ローサーもすばらしく、最近の子役の
レベルの高さにはただただ驚くばかりだ。
この映画のネットの評判をみると、ほとんどの人が高評価を与えている。
そこに誇張はなく、まさに、観て損のない映画だった。
参照:アラン・チューリングとは何者か? 映画『イミテーション・ゲーム』徹底解読
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