「逆転、慟哭、そして感動、今年最高の話題作!
第1位! 週刊文春ミステリーベスト10」 と、文庫本カバーに書かれて
いた「その女アレックス」を買った。全部で賞6冠とっている。
ストリ-は、全体を通してなかなかグロい。
体を溶かす硫酸がでてくるので、残酷系はいっさい受け付けない人には
不向きの内容だ。本の後ろには、以下のような内容紹介。
おまえが死ぬのをみたい------ 男はそう言ってアレックスを監禁した。
他に幽閉され、衰弱した彼女は死を目前に脱出を図るが・・・・・・
この本、本屋でハデに宣伝しまくっている。さらに、「どんだけ売れてるの?」
という疑問を持つほど、何冊も重ねての平積み状態。
ここまでやられると、何を読んだらいいかと迷っている人には、『まずはこの
本でも・・・・』と、思わせるパワーを持っているのではないか。
というわけで、実はぼくもその宣伝に乗せられて、ふだんは翻訳ものといっ
たらスティーヴン・キングかT・H・クックしか読まないのだが、さっそく買って
みた。でも、期待に反して部屋で読んでいたら、何度も居眠りをしてしまった。
『本を読むために本を開いてるのではなく、目を閉じる為に本を開いている
のか?』と、読み続ける自分に自分で突っ込みを入れたくなったほどだ。
結局、電車の中での立ち読みが、眠くならないので一番読み進んだ。
ストリーがつまらないわけではない。まだ主人公のアレックスが出る場面は
いいのだが、そのアレックスを探そうとしている警部の場面になると、とたん
にまぶたが重くなる。その警部は、身長145センチのチビで自分の奥さんを
今回の事件と同じく誘拐事件で亡くしている。そのショックから立ち直ってい
ない。画家の母親の影響か警部も事件の関係者をよくスケッチをしている。
しかし、誘拐されたアレックスが充分に個性的なのだから、それを追う警部
はこれほどキャラに懲らずに、むしろシンプルにやってくれた方がよかった。
ところで、この本の作者は橘明美氏の紹介を読むと、驚きの遅咲き。
ピエール・ルメートルは1951年パリ生まれ。脚本家としても知られている。
作家としてデビューしたのは遅くて2006年の55歳のときだった。それ以前
は職業教育の場で図書館員を対象に文学を教えていた。以来、2014年ま
でに7冊の小説を発表しているが、そのほとんどが賞を受けているとの事。
PR:その女アレックス (文春文庫)
関連:待ってました「悪魔の人名辞典」
映画のようにCGでマンガを作成「いぬやしき」
人気作家でもこの世は砂漠?いい事は一つもない?
「昭和怪優伝」でのあの琴線に触れるお話
「流星ひとつ」沢木耕太郎の「藤圭子」インタビュー
