「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」 (原題: LIFE OF PI)
2012年 アメリカ 監督 アン・リー
広大な海に漂うボートとそこには少年と一匹のトラ。まあ、ありえないシチュ
エーシヨンではあるが、そのありえない物語が実は見ているうちに真実の物語
に思えてくる映画ライフ・オブ・パイがやけに気にいってしまった。
インドの動物園で生まれ育ったパイは、16歳のとき、家業の動物園ごとカナダ
に移住することに。ところが激しい嵐に遭遇してしまう。
太平洋上の貨物船沈没事故でただひとり生き残り、体重200キロを超すベンガル
トラとともに救命ボートで広大な海を漂流し続けた少年のサバイバル・ストー
リー。
ストリーもいいのだが、映像が素晴らしい。
暗闇の海の中で、突如登場するクジラの海から空間へのダイビングなど、
まあため息が出るくらい美しい。そういえば、映画が始まってすぐに自然や
動物の映像の綺麗さに見とれるとこからスタートするのだが・・・。
ところでこれは意見の別れるところだとは思うのだけど、最後のトラやチンバ
ンジー、シマウマが何を意味していたかという種明かしのような語りは、ぼく
には不要だった。
というぼくの感想には、思いっきりうちの奥さんにはあきれられ、反発を受け
たが。
うちの奥さんが言うには、その最後の語りが一番重要なポイントだという。
しかし、その最後の語りに入るまでに充分、ぼくは物語を楽しんでいられた。
その語りによって、映画の意味を感じる人も多いとは思うのだが、少年のトラ
と海での物語に比較すると、もう一つのストリーには夢も不思議さもない。
とはいえ、これは確かにアカデミー賞で監督賞、作曲賞、撮影賞、視覚効果賞
の最多4部門を受賞したのもうなずける傑作。