「迦毘羅衛の憂鬱」 2010年
最近、見ごたえのある絵というものにしばらく出会っていなかったが、
偶然、嬉しい発見ができたのが、指田菜穂子さんの絵。
『横尾忠則のイラストは、ネットにどれくらい流れているのか?』という
単純な興味の元に画像検索してみて、横尾のイラストや絵画といっしょ
に出てきたのが、彼女の絵だった。
指田菜穂子さんの絵は、とても細かく描いていて、さらに空間の隙間を
嫌うかのようにびっしり描きこんでいる。だから、絵一枚からものすごい
量の時間とエネルギーを感じる。
「指田菜穂子が取り組んでいるのは、百科事典の絵画化である。」
と、福住廉氏は書いている。
そして、まるで連想ゲームのように、一つのテーマ―に関連する図が、
画面に次から次へと描きこまれている。絵の中にある一つ一つの関連
性や意味付けを考えながら、見ることができるのであきない。はまった
ら抜けられないというか、気になって再度、見たくなる絵だ。
早く、画集が出版されないかなぁ。
略歴を見ると、早稲田大学の政治経済学部政治学科を卒業。その年に、
スカウト審査員賞(六本木ヒルズ アート アンドデザイン ストア賞)受賞
している。
その後、東京大学大学院総合文化研究科を修了し、昨年、絹谷幸二賞
奨励賞を受賞している。
早稲田の政治学科といい、東京大学大学院といい、何か絵より文化的な
研究者にでもなろうとしているかのような経歴。なお、美術学校の経歴が
ないのがまた、いい。でも、途中で方向転換して学者の道には、行って
ほしくないと思う。絵にすばらしい才能を持っているのだから、寄り道せ
ずに極めてほしいものだ。
「ささがにの(細蟹の)」 2011年


