外人女性を殺害したという事件では、英国人であるリンゼイ・アン・ホーカー殺害
事件が有名だ。犯人の市橋達也は2年七ヶ月もの間、整形をほどこし、逃亡
し週刊誌では女装して客を取っているとまで噂された事件だった。
その事件以前に起った、イギリス人女性の殺害件で有名なのが、ルーシー事件。
そのルーシー事件に関しては、詳しく知りたいと思ったことが何度かあって、
その本を本屋で見つけたときはとても嬉しかった。それが、高尾昌司氏著作の
『刑事たちの挽歌 警視庁捜査一課「ルーシー事件」』
犯人の織原城二(おばら・じょうじ)は、女性遍歴を書き綴ったノートに30歳まで
の間に少なくとも500人の女性と肉体関係を持つとの目標を掲げていた。
彼の父親は極貧の中からタクシー会社、パチンコ店、不動産などを手がけ巨大
な資産を築いた。織原も贅沢でセレブな家庭の中で育ち、高校、大学は慶応に
進学し在学中の3年間は米国に留学。このため英語力は抜群であった。
この間、織原は父親の死去に伴い莫大な遺産を相続した。
織原は言葉巧みに女性を誘い、クロロホルムを用いて、女性を意識不明にさせて、
後は自由に体をもて遊んだ。
その中の女性の一人であるルーシーは、死亡後に解体させられ、海の近くの洞窟
の中に埋められた。その事件を追い、供述をのらりくらりとかわして、自白しない
織原城二を状況証拠で追いつめていく刑事の物語だ。
犯人を追う刑事の人間性を追った作品と言えるのだろう。最後には、この事件に
関わった刑事の退職後のその後まで書かれている。しかし、この犯人が、なぜ
このような事件を起こすに至ったかという、そこには重点はおかれていない。この
本では、光が当たっているのはむしろ刑事のほうなのだ。
とても読みやすい文章で、一気読みできる本ではあるのだが、そこが、ぼくには
物足らない。この事件をさらに詳しく知りたいという欲求には答えてはくれてい
ないから。
ぼくは犯人の織原城二を中心に書いた本があったら、さらに読みたいと思って
いる。
PR:刑事たちの挽歌 警視庁捜査一課「ルーシー事件」 (文春文庫)