年が明けて、早々にレンタルしたDVDが、ものすごく面白かった。
昨年に劇場で観た映画、レンタルして見たDVDを含めて僕の中でダントツ1位
の面白さに踊り出た。タイトルは「スリーピング タイト 白肌の美女の異常な夜」
という。
監督は、パニック・ホラー『REC/レック』シリーズで注目を集めたジャウマ・
バラゲロ。日本公開は昨年・2012年の8月11日。スペイン映画。エロチック・ス
リラーのジャンルに入る。
舞台が少し変わっていて、まるでホテルとマンションの合体版のような造り。
住民はそこで生活を営んでいるのだが、出かけるときは鍵を受付にいる雇われ
管理人セサルに預けて外出する。
管理人・セサルは頭が禿げていて、中年で独身だ。職は転々として、ここにた
どりついている。昼間の働いている彼は,とても優しそうな無害な人物に見える。
しかし、彼は友人もあらず孤独で、身内は、チューブにつながれて、病院のベット
で寝たきりとおもわれる母親がいるだけ。彼はその母親に、独り言のように自分
の心情を語る。
また、暗い住み込み部屋で、自殺したい人の相談に応じるラジオ番組を聴くのが
習慣となっている。
そのマンションの住民の中に、いつも元気に明るく挨拶をしてくれる独身のOL・
クララがいる。彼女も、管理人に鍵を預けるのだが、管理人の男は、こっそり
合鍵を用いて彼女の部屋に侵入している。
女性が使っているベッドの下にいて女性が会社から戻り眠りにつくのを待ってい
る。そしてクロロフォルムで昏睡させて自分のおもうままに女性を扱う。
普通は、好きになった女性がいたら、その女性に気に入られるように接すること
を考えるものだ。しかし彼の場合は、彼女が嫌な気持ちになったり困ったりする
ことを覗き見ることで、彼女の生活に接点を持とうとする。
不安を与えると同時に結果的に入り浸ってまさかの時に、クララに頼れる管理人
と安心感を持たせるためだ。
管理人は人生に絶望していて、実は自殺する事を考えている。しかし、クララに
不安を与えることが彼の生きる目標となっている。
読んだら、不快になるストーカーのような携帯メールをクララに送ったり、部屋に
ゴキブリの卵をたくさん塗り付けて、ゴキブリだらけの部屋にしてみせたり、
化粧品に薬品を混ぜてわざと彼女に肌荒れをさせたりする。
クララは、誰が自分のストーカーなのか気づかない。
しかし、一人、その男の行動を知っている人物がいる。小学生くらいのおしゃまな
女の子だ。悪行を観察し、それをネタに口止め料をねだったり、アダルトDVDを
要求したりする。可愛い顔をしているのだが、とてもずるそうな表情をみせる。
この少女のキャラが光っていた。
また彼を善人だと信じて、愛すべき子犬の世話をお願いする老女・ヴェロニカとの
会話のやりとりも印象に残る。彼はうわべだけで親切そうにふるまっている。しか
し、本音でヴェロニカに接したときに彼女に投げかける残酷な言葉。老女の笑顔が
一転し、表情が凍りつく。がっくり肩を落とし、彼から離れていく哀しき後ろ姿。
この映画を飲み会の席で、会社の人に勧めた。
「またそんな変態映画を・・・・・・エロ映画を・・・・・・」などと言いながら、「さっき
石ちゃんが言ってたのは、何ていうタイトルだっけ?」
などと確認してくるのがおかしかった。
ストリーだけ聞くと、確かにエログロ映画のように聞こえるのだが、エロの場面は
大人しいもの。この映画の良さはエロではない。
見ごたえある場面が満載で、ストリー運びにテンポを感じる。さらに犯罪者の心情
と被害者の絶望感が伝わり、余韻のある犯罪映画になっている。
これだけの充足感を得る映画に何度も出会えたら、
ぼくは今年一杯、幸せなのだが・・・。
参照:スリーピング タイト 白肌の美女の異常な夜 [DVD]
ベッドの下に中年変態管理人が隠れていた美女の恐怖 『スリーピングタイト』

