34. マシュー・ヴォーン 「キック・アス」(2010年)
いつものアメリカンコミックのヒーローは、特別な力を持ち、悪を倒してくれるが
ゆえのヒーロー。
でも、この映画のヒーローは、ぱっとしなくてもてないダメグループに属する
男。それがある日思い立ち、自家製のスーパーヒーローのマスクとスーツを着て
強くなったつもりで、街のチンピラに喧嘩を売る。
通常のパターンの逆をいったのが面白かった。
そのストリーの目新しさともう一つ、映画の大ヒットの元になったキャラがいる。
子供なのに、めちゃくちゃ強くて可愛くて、大人も顔負けの気の強さ。
クロエ・モレッツ演じる『ヒット・ガール』がすばらしい。ナイフさばきや、
銃撃シーンのうまさや格闘シーンもすばらしく、一度見たら、忘れられない。
ところで、今年の夏ごろに「キック・アス2」が撮影開始すると明言されている。
前作でメガホンをとったヴォーン監督は映画『X-MEN:ファースト・ジェネレー
ション』続編の続投が決定している。
映画『キック・アス2(原題) / Kick-Ass 2』へはプロデューサーでの参加に
なるかもしれないとの事。
35. ビリー・ワイルダー 「サンセット大通り」(1950年)
本来、あまりクラシックな映画には興味をそそれられないのだが、この映画には
はまった。
昔の栄光だけが『生きるよりどころ』となってしまった、女優の哀しさを実にうまく
表現していた。
ところで、主演のノーマ・デズモンド役の女優選びは非常に難航したとのことだ。
「世間から忘れられたという事実を受け入れられず、およそ実現不可能だと思われる
カムバックを夢見るスター気取りの中年女優」という役柄が忌避された為であろう
か?
老いることの哀しみだけが映画のポイントではなく、当時の映画のセットの様子
なども出てきて映画界の内幕がわかるようなストリーになっている。
淀川長治も、「ぼくが天国でもみたいアメリカ映画100」というタイトルの本のなか
で、この映画をこのように紹介している。
「サンセット大通り」は、映画はコレだという、もう見事なビリー・ワイルダーの
名作だから、私はいっぺんで惚れ込んだ。私は「イヴの総て」よりも、「サンセッ
ト大通り」のほうが好きだったなあ。
36. 野村芳太郎 「砂の器」(1974年)
今でもこの映画の良さを口にする人が多い。風景がダイナミックで音楽が良くて
ちょっとスケールが大きい日本人離れした映画だ。
この映画に関しては、完全に松本清張の原作を超えたといえるのではないか。