むぅびぃ・とりっぷ-猟奇的な彼女

◎猟奇的な彼女     2001年 韓国 
監督:クァクジェヨン
出演者:チョン・ジヒョン、チャ・テヒョン


DVDを見ながらの夕食をとるのが日課になりつつある。
ここが、DVDのいいところ。自分の好きな状態で見る事ができる。しか
し、今回は見ながら食べた事を後悔した。
  
映画は、おっとり性格の気のいい大学生キョヌ(男)の語りで始まる。
まるで、ホームから落ちるのではないかと、思うほどに、酔った彼女。その
彼女の様子がキョヌは気になる。


電車に乗り、彼女の様子を見ると、かなり酔ってて気持ちが悪そう。なんだ
かもどしそうな表情だ。食事しながら、見ている方としては、
『お願いだから、吐くなよ!』
と、祈るような気持ち。
 
しかし、こちらの気持ちもかなわず、かつらをつけた男の頭の上から、酔った
彼女がいきなりゲロをぶちまけてしまう。さすがに、食事をしながら見るその
シーンは、気分のいいものではない。


それはともかく、ハチャメチャな主人公の女性の言動が、笑わせる。納得が
いかなければ、他人にケンカを売るかのような抗議をし、気に入らなければ、
男であろうと、びんたを飛ばす。
他人に媚ずに、自分の感情にこれだけ、正直に行動できるのは、うらやまし
いほどだ。

その彼女に振り回される男のキャラクターも、どこにでもいそうで、ほのぼの
してくる。このストリー運びは、まるで少女漫画のような世界。


但し、女性の強さに対して、一見軟弱に見えてしまう男性に関しては、
監督は別の映画「最強☆彼女」のインタビュー時にこのように答えている。

「男性が非常に女性に優しいですが、優しいだけであって弱くはない。強い
女性とも付き合える強さがある。内的な強さをもっているということです」


また、監督はキャスティングで重要視していることに関して聞かれ、こう答え
ている。
「ヒロインはまず、透明感があること。そして性格は”4次元”であること。
”4次元”とは最近韓国の若者の中で使われている言葉で、どこに飛ぶか
わからない、突拍子の無い、そういったおもしろい思考の持ち主のことです。
相手役はヒロインがきまってからキャスティングするようにしています。」


何か、「猟奇的な彼女」の作品の根っ子の部分を語ってもらったような気が
してくる。


この映画は笑いもあえれば、ほろりとくる泣きの場面もあり。寂しさを感じさ
せる動と静の陰影をかんじさせる。


そして、ピアノを演奏する彼女にプレゼンを、渡す場面。会場には、女性しか
いない。多数の彼女の同級生が見守る前で、彼は堂々と彼女に花束を渡す。
拍手が彼の行為に向けられる。それはさわやかで感動的な場面。
  
笑って、泣いて、寂しくなって。まるで感情の幕の内弁当のような、バライティ
に富んだ映画だ。


参照:“美しくて強い女性には、男性にできないことができる”『最強☆彼女』
   クァク・ジェヨン監督 合同インタビュー

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