◎ キル・ビル Vol.1 2003年 アメリカ
監督 :クエンティン・タランティーノ
出演者 :ユマ・サーマン、ルーシー・リュー、ダリル・ハンナ、デヴィッド・キャラダイン、
千葉真一、栗山千明
キル・ビルのポスターを見たときに、ブルースリーの最後の映画「死亡遊戯」
の衣装を思い出した。色彩が同じだからだ。黄色の地に黒のラインは、何だ
か交通標識を思い出してしまう。
キルビルの場合の衣装色彩としては、黒と赤、もしくは白と赤が妥当だ。
なんせ、血が噴水のようにピューピュー出まくり、生首も負けずに元気に飛び
回り、足やら、手やら、バッタバッタ切られて、それらも空間を踊る世界なの
だから。
ここは、衣装は、ぜひ赤を象徴的に入れてもらいたかったところだ。
この映画の監督、タランティーノの作品では、1994年製作の『パルプ・
フィクション』が好きだ。その映画に出ていたのが、ユマ・サーマン。とても、
洗練されたお人形のような美しさにまいったものだ。
確かブルースウイルスが、とても凶暴性ムンムンの黒人の大男に、おかまを、
掘られてしまう場面があって、それがユーモラスで印象的だった。
キル・ビルの話に戻るけど、この映画は、最初の黒人の子連れのおかあさんと、
戦う場面が良かった。
さんざん盛り上がってきたとこれで、キッチンの窓を通して、スクールバスか
ら子供の帰ってくる姿が見える。そこで、戦いを一時、中断。
互いの血しぶきを浴びるほど、戦っていながら、子供がドアを開け部屋に入っ
てくると
「今、ママはね、お友達と会ってるの。」(ちょっと、うろ覚えだが、こんな発言)
と、苦し紛れの説明。
後ろの隠した手には、お互いに凶器を持っている。
子供は無言で、交互に母親、そして母親を殺しに来たユマ・サーマンの表情
を伺う。逆にここでの戦いをラストに持ってきたほうが良かったくらいだ。
一方、クライマックスのチャリーズ・エンジェルに出ていたルーシー・リュー
との、白い庭での戦い。これは、迫力不足だった。
お互い、外人なのに、つたない日本語で語り合い、(ここでは、笑ってしまっ
たが。)さらに、言葉と同様モノになってない刀で戦い合うのを、見せられる
のは勘弁してほしい。
この映画は細かいところで、ものすごくアレコレ言いたくなる映画。
サニー・千葉のやたらに威勢のいいだけの、客のいないすし屋もなんだか
変だし、すしもおいしそうじゃない。それが、刀職人の名人?という設定も
無理がある。
でも、実は映画の良し悪しとは、別のところで、関心した部分がある。
キル・ビルは、自分の好みの映画を、次々、つなぎ合わせた、とても私的な
マニアックな作品。この映画は、好みの映画のミックスサンドだ。まさしく映画
のコラージュ。それが、なんと興行的に成功している。
タランティーノは、自分の好みが世に拍手でもって受けいられた、実に幸せな
監督だ。
キルビルの元ネタを紹介してある、サイトから一部抜粋してみると、
○クレイジー88のブラックマスクはTVシリーズ「グリーンホーネット」でブ
ルース・リーが演じた運転手カトーがしていたマスク。
○ルーシー・リュー扮するオーレン石井の白い着物姿、雪の日本庭園での
立ち回りは梶芽衣子版「修羅雪姫」(73)の再現。
○「キル・ビル」は、手足やはらわたが飛び残酷描写のため、アメリカでは
血を黒くして残酷度を弱めたバージョンが公開される。
この血みどろ殺陣は三隅研次監督「子連れ狼/三途の川の乳母車」(72)
の再現。
○ザ・ブライドが忍者のように天井に張り付いたり、殴られた敵から目玉や
はらわたが飛び出すマンガ的描写は、千葉真一主演・石井輝男監督の
ドタバタ・コメディ 「直撃地獄拳」シリーズで繰り返されるギャグ。
○ブライドが乗る飛行機の背景に見える異様な色の夕焼けは松竹のSF
映画「吸血鬼ゴケミドロ」(68)冒頭の旅客機墜落シーンの空の再現。
その眼下に広がる東京の街のミニチュア・セットは東宝の怪獣映画
「サンダ対ガイラ」(66)のイメージで、と指示された。
タランティーノによれば、その理由は「怪獣並みの最強ヒロインが対決
するから」
実はまだまだたくさんありそうだ。
さて、キルビル2では、どれだけの映画の元ネタが詰まっているのか?
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