町山智浩の文章は、ピックアップする情報が面白い。映画に関する
本でも、その情報を知ると知らないとでは、見方が変わるのでは?
と、思えるような事実を示してくれる。


今回は、彼の書いたちょっと軽めの本を買った。
「USAカニバケツ」というタイトルで、副題に「超大国の三面記事
真実」と、ついている。


色々、意外性のあるコラムがたくさんつまっているのだけれど、その
中でも、特に印象に残ったこと。
人というのは見かけではまるでわからないという証拠のようなお話し。


女優のミラ・ジョボヴィッチは、スーパーモデルで、冷たい性格を
どこか思わせる風貌だ。
でも、『バイオハザード』に出演した彼女に町山智浩がインタビュー
したらものすごく気さくなお姉ちゃんなので驚いたという。


日本向けに一生懸命に「料理の鉄人」の話をしてサービスするし、和ま
せようと気軽にこちらの体を触ってくれる。さすが七歳の頃から子役で
働いて貧しい一家をささえてた苦労人だ。
と、結んでいる。


同じ子役出身でもスカーレット・ヨハンソは大違いとのこと。
ぼくが見たヨハンソの映画では『真珠の耳飾りの少女』が心に残って
いる。内向的で繊細で何か彼女に「はかなさ」まで感じたものだ。


町山智浩が『スパイダー・パニック」という巨大蜘蛛が大暴れする怪獣
パニック映画の取材でインタビューしたときのこと。
繊細どころか態度がデカイとのこと。


ガムをクチャクチャ噛みながら記者団の前に現われ、脚をドカっと
テーブルの上に乗っけて、ダルそうに「朝から十本もインタビューこな
して、同じこと何度も聞かれたから疲れちゃってさあ」と言って小鼻に
付けたピアスを指で弾いたという。


共演のデヴィッド・アークエットが代わりに「すみませんね、躾がなって
なくて」と謝っていたという。


取材後、メキシコの記者がさらに上回るエピソードを聞かせてくれた。
ある取材で記者の一人がジュリア・ロバーツのネックレスが不思議な形
なので、ちょっと見つめてたら「あたしのオッパイに触りたいの? 
一生無理よ」と鼻で笑われたとのこと。


別の取材で当時つきあっていたベンシャミン・ブラッドについて質問
したらこう言った。
「余計なお世話ね。あたしのプッシーが何をしようと勝手でしょ」


まあ、ここまで言ったら逆に面白さまで感じてしまうのだが。
これが書かれたのは、2002年の3月。スカーレット・ヨハンソやジュリ
ア・ロバーツも、少しは良い方向に変わっているのかもしれない・・・・・・。


とは、あまり思えないか。実態を知らずに映画の中だけで見ているのが
一番よろしいようで。


PR:USAカニバケツ: 超大国の三面記事的真実 (ちくま文庫)