- ワケありな映画/沢辺 有司
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ご飯のたく時の匂いが大好きな、殺し屋が主人公。そんな不思議なテレビ映画を
見たときがあった。まだぼくが学生の頃のことだ。
その映画がやたらと面白かった。宍戸嬢が殺し屋の役をやっていた。実にはまり役
だった。でも、それが何という映画か、昔のことなのでタイトルも忘れていた。
今回、フリーライターの沢辺有司氏が書いた「ワケありな映画」という本を買っ
たのだが、偶然、その忘れられない殺し屋の映画が取り上げられていた。
映画のタイトルは「殺しの烙印」という。監督は鈴木清順。
この映画はぼくにはとても面白かったのだけど、観る人によっては「わけわからない」
で、片づけられてしまうのか?
その本によると、「殺しの烙印」は成人映画として、花を喰う蟲(西村昭五郎監督)
の2本立てで、1967年6月15日に公開された。
日活社長・堀久作は完成した作品を見て激怒。翌1968年の年頭社長訓示では、
「わけのわからない映画を作ってもらっては困る」と清順を名指しで非難。
遂には、清順に対して電話一本で専属契約を解除してしまったという。
このとき、川喜多和子が会長を務めるシネクラブ研究会は、5月10日から7月26
日まで、鈴木清順作品の37本の連続上映を企画していたが、堀社長はフィルム
の貸し出しを一方的に中断し、清順全作品のフィルム封鎖を表明するという暴挙に
出た。
こうした日活のやりかたに激怒したファンや映画人がデモ行進を敢行し、これを
もとに、「鈴木清順問題共闘会議が結成され、社会問題化された。
清順は解雇の撤回を要求したが受け居られないので、日活を告訴し、問題は法廷
で争われることになった。
このような、映画にまつわる問題視された色々な事情や事件を取り上げている。
この本は、見たことのある映画の裏事情を知るという意味で、読んでも面白い。
また、見たことのない映画のエピソードを読んでいると、今度はその映画を見たく
なってしまうのだ。
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