新巨人の星を、古本屋で見つけて買った。
これは、新巨人の星のアンコール刊行をいうことで、講談社から発行さ
れている。
「飛雄馬VS左門豊作の執念!?」
というタイトルがついている。でも左門豊作って太り過ぎだし笑わないし、
キャラとして親しみをまったく感じさせない。これは、タイトルに「新」が
つかない前作のときから、同じ。
読んでみて面白かったのは、恋愛の部分。
伴が好きになった女優が実は飛雄馬を好きになっていて、飛雄馬の
好きな女性もその女優・鷹ノ羽圭子、ということで、『女をとるか男の友情
を取るか』という選択になる。
伴が早く気がついて身を引けばすむことなのだ。
そこに飛雄馬のガンコ一徹の親父さんまでが、からんでくる。
「どんな気分じゃな色男?」
「エッ どんな気分か言うてみい」
「片想いのつもりで悶々としとったらじつは先方の心も自分にあったちゅ
う望外の心境は?」
などと、嫌味たらたら・・・・まるでやくざの親分のような風格で息子に心境
を尋ねる。
飛雄馬もいい年をして、何も親父さんに「女をとるか男の友情を取るか」
などとという相談をしなくてもいいのに。
ガンコ一徹・理想主義の親父さんに聞いても出てくる答えは前時代的な
発想しか聞けないのは分かり切ったこと。
これは、男としては『心の優しい、綺麗な女性として描かれている女優・
鷹ノ羽圭子を取るに決まっているではないか!』と、思わせといて、
何か違う方向に物語は進んでいく。
さて、その飛雄馬のいくつになっても清純すぎる不思議な恋愛話は置い
といて、「巨人の星」という漫画について。
巨人の星は、野球漫画なのに野球というスポーツを通して人生を描いて
いる。そこが他の漫画と違っていた。
それに、魔球の発明や、体を酷使するトレーニングの凄さ、飛雄馬とい
う地味なキャラクターに対して、御曹司の花形満の面白さ。
まあ、いろんな要素がミックスして、とても完成度の高い傑作漫画が登場
した。
新巨人の星は、ぼくには、その漫画が出た当時、「巨人の星」という名作
のおまけのような気がして仕方がなかった。
でも、ひさびさにその新巨人の星を再読すると、それぞれのなじみの
キャラクターと出会えた懐かしさもあり、今回買ったのは400ページ
もあって分厚かったのだけど、一気読みをしてしまった。
底に流れるいつもの昔風の固い考えはそのままだし、そこが逆に面白
くもあった。
『新巨人の星は失敗作だった』、とは、原作者の梶原一騎自身が、本人
の著作で語っている。
でも、ぼくには楽しめた部分もあり、こうしてまた発行されたところをみる
と、ファンも多くいたということの証拠だろう。
時が経ち、再読するとこの作品に対して別の想いもわいてくる。
それに、川崎のぼるの漫画の絵が改めて本当に綺麗だ。黒と白のバランス
が絶妙だ。
ぼくは今後も、新巨人の星の続きも読んでいきたいと思った。
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