「才能があって稼いだひとはいいよなぁ。
やめたって、悠々自適で。」
と、島田紳助のニュースを見ながら、彼と同じ年齢だという会社の人が
つぶやく。


紳助は、まだ55歳。普通のサラリーマンであれば、まだ5年は働らく。
さらに、65歳までは年金がでないので、定年のあともなんらかの収入の
道を考えなければならない。
そういう意味では、スパッとやめられる島田紳助の潔さはサラリーマンに
とってはうらやましい限りだ。


島田紳助は、以前から自分の引退の事に関して、対談でも本でも述べて
いた。だからぼくとしては、あまり驚きはない。それよりも、一芸能人
が、引退するということが、とてつもない重大事件のような扱われ方を
することに驚いた。


ところで、島田紳助のレギュラー番組に出ていた芸人たちのショックが
大きいのではないか。島田紳助の代わりになれそうな人というのはすぐ
には出てこないだろう。なんとか番組が存続したとしても、彼ほどの
視聴率を稼ぐのはむずかしい事だろう。


島田紳助が引退を声明したのは、8月23日の午後10時。
彼は三十年以上に及ぶ芸能活動に終止符を打った。
引退劇の理由をこう説明した。


「Aさんとのメールを見せられ、吉本からアウトですよと言われ、反省
をして、責任をもって引退することにしました。吉本興業には後輩が
700人ぐらいいる。彼らに示しがつかないので、一番厳しい処分とし
て引退することにしました。」


このAさんとは、誰のことなのかを週刊文春9月1日号で明らかにして
いる。
また、紳助が関わった暴力団とはだれのことなのかも書いている。


Aさんとは、元ボクサー・世界チャンピオンの渡辺二郎氏。
そのメール内容から親密な交際を疑われたBさんとは、六代目山口幹部
にして、極心連合会会長の橋本弘文氏。


紳助が橋本氏にあったきっかけは関西ローカル局で起きたトラブルだっ
た。
「十数年ほど前、紳助さんが司会をつとめる『紳助の人間マンダラ』と
いうバラエティ番組で、出演者の発言が右翼団体から問題視され、猛烈
な抗議をくらったことがあった。そこで、紳助さんは渡辺氏に泣きつい
て、橋本氏が間に入って、その場を収めたそうです。

橋本氏との関係は、そこから深まっていったのです」(紳助の知人)

今回、島田紳助と橋本氏の関係を示すメールが表沙汰になったきっかけ
は2006年に羽賀研二が起こした恐喝未遂事件だった。


大阪天王寺区の都ホテルで羽賀、渡辺氏、極心連合会の幹部ら計4人が
未公開株を巡り、不動産賃貸業の男性を脅したとして、翌年に逮捕
された事件だ。


この羽賀研二の事件は、二転三転したので記憶に残っている。
この事件がまさか島田紳助につながっていくとは思わなかった。世間は
狭いものだ。


参照:文藝春秋|雑誌|週刊文春_110901