週刊文春の夏の特大号で、「私たちが夢中になった名作テレビドラマ
30」という記事が出ている。
1位は、191票で1962年から1968年に放送された「てなもんや三度笠」
になっている。

でも、1位が約45~50年前にスタートしたドラマ?

ここまで古いと、内容がまるでわからない。
ちなみに、2位が「JIN-仁-」、3位が「時間ですよ」4位に「東京ラブ
ストーリー」、5位に「太陽にほえろ」が入っている。


20~30代、40~50代、60~70代でほぼ同数ずつの合計2000人

の読者に思いでに残るドラマを3本づつ上げてもらっての結果とのこ

とだ。


その30位までにあがったドラマに関して、小堺一機と亀和田武と
今井舞が対談を行っている。その中で、印象的だったのは、小堺一機
が泉谷しげるの想い出を語っているところ。以下はその想い出の語り
に至るまでの3人の会話。


亀和田 水谷さんは、年代ごとに代表作がありますね。

今井   私は「熱中時代」の、ちょっと訛りがあって、体当たりで子供
      と接する北野先生のイメージが強いです。

亀和田 警視庁の官房室長という架空の役職で出てくる岸部一徳さんも
      「相棒」に深みと厚みを与えていますね。怖さと奇妙な笑いの
      両方がある。

小堺  岸部さんは、タイガース時代の映画を見ると全部棒読みなん
     です。そういう役者の成長を見るのも楽しみのひとつですよね。
     僕、連続ドラマに出ていた時、泉谷しげるさんに怒られたん
     です。最終回で「はい」と言うシーンで、
   
     「一話目の『はい』から成長していない。それじゃあ、ずっと
     見てきた人に失礼だよ」って。
     「な、監督、もう一回撮ってやってくれ」って言ってくれま
     した。


「泉谷しげる」という人のエピソードはなかなか、すごいものがある。
前に古舘伊知郎の書いた本で、アントニオ猪木があまりにも別れた奥さ
んの事をぐずぐず言っていたら、「そんな情けねえ愚痴をたたいている
から負けるんだ、テメーは」と、カツを入れたというエピソードを読ん
だことがある。


アントニオ猪木にカツを入れられた!という人はたくさん聞くが、
格闘家でもないのに、アントニオ猪木の目の前で、彼にカツを入れら
れるひとはなかなかいないだろう。


その古舘の書いた本が本棚のどこかにあったと思ったので、探してみた
のだが、みつからない。
こうゆうことがあるから、本は一冊も手放したくないのだけれど、
なんせ狭い住居ではそうもいかず、くやしいところだ。

きっと、いなかに送ったかもしくは古本屋に出してしまったか……。

本がみつからなければ、ネットでどこかに出ていないかとおもったら、
出ていた。
そのエピソードは実はショーケンも絡んでいたようだ。古舘が書いた
泉谷のエピソードではなく、泉谷しげる・本人が書いたエピソードと
なる。

以下は野獣伝説 というサイトからの「アントニオ猪木」 に関する
文章から。


「泉谷しげるの治外法権」泉谷しげる著
 より抜粋


 忘れもしない六年前の北海道。その日試合に負けて大不機嫌な猪木が、
子分の山本小鉄なんかを従えて飲んでいたんだが、店に偶然いたオレを
見つけるなり
「お前もショーケン(萩原健一)もろくなモンじゃねえ」とガン飛ばして
きやがった。


当時の猪木はカミさんの倍賞美津子さんとショーケンの仲について疑心
暗鬼でイライラしてる頃でよ、オレなんか美津子さんと肉体関係もねえ
のに「女房の友達」というだけでイチャモンつけてきた。

いい迷惑なんだよ。この野郎。

 おい猪木。オレだって、いくら何でも当時最強のレスラーといわれた
テメーを怒らせるような命知らずなことするわけねえだろ、バカ野郎。
オレはショーケンじゃねえんだよ。


そういえばあのときオレは「ショーケンはお前が思っているようなそんな
やつじゃねえよ」って強硬に主張したが、今思うとそんなやつだったの
かもしれない。

あと「次の店で決着をつけようじゃねえか」と猪木にスゴまれたときに
いつの間にか逃げてた景山民夫(作家)。テメー、最低だな。
今でもそんなコウモリ野郎みたいなことやってるのか、バカ。


 何だかんだと猪木に一時間も絡まれたからオレもついにキレて
「そんな情けねえ愚痴をたたいているから負けるんだ、テメーは」と
怒鳴っちまったんだが、殺されるかと思ったら今度はあの野郎
「お前、なかなかいいやつだ」
「見込みがある」なんて急に優しくなりやがった。


オレも緊張が解けて飲み過ぎたせいか、記憶なくなるくらい泥酔しち
まってよ、あとで聞いたら猪木の背中におんぶされて頭をバコバコぶん
殴ってたそうだ。
謝るぜ、この野郎。
ご丁寧にもオレをホテルの部屋まで送り届けてベッドでなく床に放り
投げてくれたらしい。


猪木が負けた試合とは、S63年7月札幌の猪木VS長州戦のことを
言っているのだろうと、もりけんというHPの管理人の方は推測して
いる。

それにしても、怒鳴った後で『殺される』と思ったというから、単に
無鉄砲なだけではなく、冷静な部分も持っているのがわかる。
しかし、何はともあれすごいエピソードだ。