◎ ウォール・ストリート
監督:オリバー・ストーン 2010年/アメリカ/133分
出演:マイケル・ダグラス、シャイア・ラブーフ、
ジョシュ・ブローリン、キャリー・マリガン
この映画は、オリバー・ストーン監督でマイケル・ダグラス主演による
名作「ウォール街」の23年ぶりの続編になる。
不正取引で刑務所に閉じこめられた男・ゴードン・ゲッコー(ダグラス)
が、初老の状態で刑期を終えてシャバに出て、再たび株の世界で活躍する。
ゲッコー
なんか、カエルの鳴き声みたいな名前なのが、ぼくには微笑ましい。
そういえば、マイケル・ダグラスって、ちょっとガマガエルみたいな顔に
似ているとこもあるなぁ、などと、これは余計な感想か?
その男の娘と娘の婚約者ジェイコブ(シャイア・ラブーフ)とのかかわり
あいや、ジェイコブが尊敬する元会社の社長が自殺に追い込まれたこと
への復讐が描かれている。
映画を観終わって、トイレに行くと高校生らしき4、5人の男が感想を
述べていた。
「ムズク(難かしく)なかった?」という問いかけに、数人が賛同を示し
ていた。「あの、すべて丸く収まったラストは何?」という声も聞こえて
きた。
映画を観た後は、その映画に対する他人の感想が、記憶に残るものだ。
まさしくぼくの思ったことも同じだ。
描かれている全体の流れはよくわかるのだが、株の世界に詳しくないので、
細かい会話の意味がチンプンカンプンになっていた。
そして、きれいに収まりすぎたラストは不満だ。あのラストでは底の知れ
ない孤独な男・ゲッコーの生き方を演じた、マイケル・ダグラスの演じた
キャラが、中途半端なことになってしまうではないか?
但し、ゲッコーが自著の宣伝も兼ねて講演を行っている場面が見事だった。
何か数語を言うたびに会場に笑いが起き、最後に大勢の聴衆に拍手で迎え
られる言葉で締める。
その講演の様子は、まさに一つのショーとなっていた。
同じく、婚約者が自分の進める会社の投資に興味を持たせるために、中国
人に説明するプレゼンの場面も印象に残る。
会社で、人に何かを説明するたびに、ぼくは自分の能力不足がイヤになる。
もう少し、うまくわかりやすく説明出来ないものかと・・・。
だから、講演やプレゼンで、人の興味をそらせないシーンは心に残るのだ。
ぼくの映画・ウォール・ストリートの感想はこのようなことに留まってしま
うが、株や経済に詳しい宿輪純一(しゅくわ・じゅんいち)の感想は以下に
あげるような分析がされている。
・破綻した「リーマン・ブラザース」がそのモチーフとなっていると考えら
れる。そのため内容にリアリティがある。
・最近の金融事情についてはかなり詳しく描かれており、ご覧になる方には、
金融事情の勉強になろう。旧来の株式や社債等の証券取引に加え、アジア
からの国際的な投資、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)などの
デリバティブ(派生商品)取引や、環境分野に対する先行投資まで出てき
ている。
確かに、映画のなかには「環境分野に対する先行投資」の事などがでてくる。
まずは、リーマン・ブラザーズ とは何なのかを調べてみた。
リーマン・ブラザーズ (Lehman Brothers) は、アメリカのニューヨークに
本社を置いていた大手投資銀行及び証券会社。
1850年に創立され、米国第四位の規模を持つ巨大証券会社・名門投資銀行の
一つとされていた。
2008年3月に大手証券会社で財務基盤に問題はないと繰り返し発表してきた
ベアー・スターンズが事実上破綻した際に、株価が2日間で一時54%以上暴落
した。
2008年9月15日に連邦倒産法第11章(日本の民事再生法に相当)の適用を連邦
裁判所に申請し破綻した。総額は6,130億ドル(当時の日本円で約64兆5000
億円)と米国史上最大の倒産となった。
話は変わるけれど、いま、和田竜の「のぼうの城」を読んでいる。思ったよ
り面白い。
時代小説なんぞを読むのは本当にひさしぶりだ。でも、読んでいて感じるの
は『自分にもう少し歴史の知識があったらさらに楽しめるのになぁ』と、
いうことだ。
このウォール・ストリートも同じだ。株や経済の事に明るかったらもっと楽
しめたと思える。楽しむためには、いろいろな方面の知識も必要だというこ
とだ。
まあ、映画で描かれる世界の予備知識がなくても夢中にさせてくれるのが、
本当のエンターティメントの映画なんだろうけど。
というわけで、ぼくにはこの映画はラストシーンの不満もあって、60点
という点数でした。