◎ ディスタービア    2007年アメリカ

監督:D・J・カルーソ   
出演:シャイア・ラブーフ,キャリー=アン・モス,デヴィッド・モース監督


むぅびぃ・とりっぷ-ディスタービア

 ディスタービア(Disturbia)とは何ぞや?という事で調べてみた。辞書にない
 言葉だ。
 disturb と suburbia を組み合わせたもので、suburbia は映画の舞台となる「郊
 外」という意味。disturb は、「邪魔する」という意味。
 この映画では「動揺させる」「心をかき乱す」という、もう1つの意味で使ってい
 るとの事。

 ところで、肝心の映画の内容。高校生が主人公だ。
 教師を殴って3ヶ月の自宅謹慎中である、主人公のケール。
 監視システムを足首につけられろ。これは、半径30メートルを出れば警察に
 通報されすぐに、警官がすっ飛んでくるシステム。

 母親からテレビゲームもテレビも取り上げられて、何をするかということで、た
 どりついたのが覗き。
 それも、近所に引っ越してきたとてもスタイルのいい、ビキニで泳ぐ美少女。

 その同級生の美少女がホームパーティを夕方に始めた。みると、親しげに男
 から抱擁などをしかけられている。ケールは、嫉妬心からパーティをぶち壊す
 いたずらを仕掛ける。
 彼女は怒った勢いで、彼の部屋に上がりこみ彼を問い詰める。

 「あなたはいったい私を何回覗いていたの?」

 その時に、正直に告白するケールの言葉が良かった。彼女の屋根の上で
 本を読む姿、ドアをあける一瞬のためらいの動作、泳ぐ姿、エアロビをする姿、
 そのいろいろな彼女の動作を見ながら、彼は彼女の内面まで想像力を働か
 せみつめていたことを語る。

 まさしく、好きという事は見つめ続けていたいという事だ。
 彼の告白は、許しを請うというよりは、好きだと言うことの正直な告白に聞こ
 えてくる。

 その覗きをからめての男女のやりとりで終わっていたら、恋愛映画で終わっ
 てしまうのだが、続いてそこに描かれていたのは、犯罪を覗いてしまった事
 の恐怖と探究心。
 覗かれていた彼女も加わっての、今度は殺人鬼らしい男を覗くスリラー映画
 に転じていく。

 「私は誰にもじゃまされず、いなかで静かに生活をしていたいだけなのだ。
 それを君のような覗きで生活を壊される」
 というようなニュアンスの言葉を、静かに語る迫力ある男。
 とても静かに生活を送るとは思えない風貌の、そのアンバランスさがまたいい。

 最初にでてくるお父さんとの釣りの場面もよかったし、どこの場面を取っても
 何か印象に残るシーンがある。
 内容はいたってシンプルなのに、スピード感がありグイグイ画面に引き込まれ
 ていく。
 ぼく
にはこの映画は80点。