天国の駅は、戦後3人目の女性死刑囚である小林カウをモデルとして作られている。主演は吉永小百合や、西田敏行、三浦友和、丹波哲郎など、そうそうたるメンバーだ。

また、芸者さんの入浴シーンを入れた温泉のポスターを撮る場面では、カメラマン役に荒木経惟が特別出演している。荒木のそのまんまの個性的な出演には、思わず笑ってしまった。

天国の駅は、最初に見たのはテレビの映画番組でみた。その時はそんなにおもしろいと思わず、途中で観るのを止めていた。たぶん、自分が中学生の頃だったと思う。
       
それから、しばらくたって母と姉の口からこの映画のことが、話題に出た。 『吉永小百合の表情がとても良かった』というのだ。
”そんなに、面白い映画だったのか?”と、気になっていた。

今回、20年ぶりくらいにDVDで見た。この映画は色っぽく、哀しく、何かとても心に沁みた。最後に雪山に逃げ、警察や警察犬に追い詰められていく場面でも、雪景色がとてもきれいだった。知恵遅れ役の西田敏行が、ひたすら好きな女性のために自分の身を投げ出す場面もよかった。

ただし、この映画と小林カウを重ねることはできない。映画でのキャラクターは終始、巻き込まれての犯罪ということになっている。男好きというよりはむしろ清純な女性として描かれている。つまり、吉永小百合が演じている「林葉かよ」と犯罪者「小林カウ」はまるっきり別キャラクターである。
 
映画のストーリーは、現実の事件とは別物と見たほうがいい。あまりにも美化しているからだ。逆に、小林カウの犯した犯罪を忠実に再現したドラマを映画化してほしいものだ。女優は寺島しのぶあたりが、適役かもしれない。


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