◎ 僕の彼女はサイボーグ    2008年日本

         監督:クァク・ジェヨン
         出演:綾瀬はるか、小出恵介 、竹中直人、吉行和子


むぅびぃ・とりっぷ-綾瀬はるか_サイボーグ

昨日、綾瀬はるかに関して書いたので、その延長で

「僕の彼女はサイボーグ」を観に行ったときの感想を書きます。
 

                ハート

  『猟奇的な彼女』という韓国の映画を観た時は、あまりに主人公の女性が
 たくましくて、強くて、わがままで、驚いてしまった。男にビンタをするわ、
 暴れるわで、手がつけられない。
 その女性に振り回される男が本当に弱々しくみえたものだ。

 綺麗な女性には、たとえ彼女がどんなに凶暴な性格でも、男は無条件でひ
 ざまづいてしまう。そんな男全般に共通する弱さをつきつけられたような気持
 ちにもなったりした。

 その『猟奇的な彼女』の監督が『僕の彼女はサイボーグ』という映画を作っ
 た。とうとう女性をサイボーグにまでしたか・・・と、あきれたものだ。
 そんなに強い女性が好みなのか?この監督(クァク・ジェヨン)はマゾか?

 今度は『僕の彼女は怪獣』なんてゆう映画も作れそうだ。

 『猟奇的な彼女』に反感は抱iいたものの、結果、好みの面白い映画で
 あった。
 だからその監督が作った『僕の彼女はサイボーグ』も、興味を抱いた。

 好きなサイト・「前田有一の超映画批評」では、『僕の彼女はサイボーグ』
 に「採点不能」という珍しい評価を与えていた。ぼくの知るかぎりでは、こん
 な評価を前田氏が下したのは初めてだ。
 前田有一の批評は、自分が映画に感じた感想を手加減しないところが魅力
 だ。 だめだと思う映画は「そこまで書くか・・・・・・」と思うくらい酷評している。

 採点不能という事は、『少なくとも、”取るに足らないつまらない映画”という
 ことではないらしい』と、好意的に解釈した。つまらなかったら、30点(100
 点満点中)とか50点と、つけているはずだ。
 それに綾瀬はるかの映画ポスターは心惹かれるものがあった。見ているだ
 けで別世界に引き込まれていきそうな気持ちになる。
 彼女の自分の感情を内面に封じ込めたかのような表情がまたいい。 

 ぼくとは反対に、日本映画が大好きな友人がいる。
 昼飯のときに『僕の彼女はサイボーグ』のネタバレを含めたストーリーを教
 えてくれた。

 さえない大学生、北村ジローは21歳の誕生日をひとりで祝っている。彼は
 1年前の20歳の誕生日に出会って、別れた女性の事が忘れられず、彼女
 と食事したレストランをまた訪れていた。
 そんなジローの前に、『彼女』(綾瀬はるか)がまた現れる。
 『彼女』は未来のジローが、過去の自分を守るために送りこんだ「サイボー
 グ」だった。

 さて、ここでストーリーを詳細に述べると、映画を見る楽しみが半減してしま
 うと思うので、ここいらにしておこう。その友人の話につっ込みを入れつつ、
 ひさびさに大笑いした。
 なんて奇妙で、時間の前後がとらえにくい映画を作ったものだと関心もした。
 そのストーリーを聞いて笑った瞬間に観にいくことに決めていた。

 この映画は当たりだった。
 笑えたし、綾瀬はるかが輝いていた。彼女の地球に降り立った直後の宇宙
 服もいい。デパートでいろいろ着替えてみる場面も、彼女の小さな ファッショ
 ンショーをみているような楽しさがあった。

 チョーク投げが得意な、教師役の竹中直人の演技も大笑いした。この人の
 面白さは、不思議だ。
 今までみたことのないキャラを見せられて、ビックリすると共に体の奥から
 笑いがこみあげてくる。
 
 竹中直人のこの手の大げさな役作りが肌に合わない人には、まるっきり
 受けないのだろう。ぼくには、ピッタンコはまってしまった。
 「Shall We ダンス?」の時の怪演を思い出した。
 チョイ役ですぐ画面から消えるのが残念だった。

 綾瀬はるかのロボットぶりも、魅せてくれた。彼女には無表情の美しさが
 ある。
 酒に酔っ払って、注意力が散漫になったときに、隠しておきたいロボット化
 が微妙に出てしまっているシーンも面白かった。
 
 彼女の首が360度、回ったり、目から光線がでてたり、強い静電気が
 本人の周りで起きていて、パチパチ火花な飛び散っていたり・・・・。
 彼女を唖然と見守る、飲み友達の表情とあわてふためく、主人公・北村
 ジローの取り繕いが面白い。
 
 地震で体がうまってから見せる、ロボットだからこそ、できる究極の根性
 ぶりもすごい。この場面は、すっかり”ロボットのホラー映画化”、「ターミネー
 ター」していた。
 感動場面なのだが、観ようによってはグロテスクなシーン。この態度を決
 めかねるとんでもなさを突きつけてくれるのが、なかなかの快感だった。
 
 と、いうわけで、この映画は80点。
 最後の付けたしストーリーの失敗が少々痛かったが、それでもひさびさの
 満足映画だった。

 参照:超映画批評『僕の彼女はサイボーグ』採点不能(100点満点中)