ぼくのよく行くレンタル屋は
アダルトコーナーが広めで、4本で1000円ちょっと。
安いのでけっこう利用している。
そこで、何度か目にしたのが車椅子でアダルトコーナに入ってくる
障害者の人。体をときおり苦しそうにひねっていたりするから、
けっこう体がしんどい人なのだということがわかる。
こんなことを思ってはいけないんだろうけど、ちょっと
せつなくなってしまうのだ。アダルトコーナーに来る
一般の人は、
『今はお手軽にビデオやDVDで性欲処理していようが、それ
ばかりではない』
という最後に救いのようなものがある。
でも、重度の障害者の人が借りているその様子は、なんだか
救いがないようで胸がしめつけられてしまうのだ。
まあ、そんなよけいなセンチな気持ちはどうでもいい。
今日は本屋で買おうかどうか迷っていた河合香織の
「セックスボランティア」を買ってしまった話し。
この本は、序章と書かれた7ページがぼくに買う事を決意
させた。
なんだか考えた事のない世界なのだ。
河合香織が『障害者の性をどう考えるか』について話しを聞く
うちに、
「おもしろいのがあるから」と、ひとり暮らしをしていた電動車の
男が不自由な手でビデオテープをセットした。
ビデオといっても音はない。さらにモノクロ画像だ。
車いすの後ろに酸素ボンベを設置した老人の姿が映し出される。
白い背景に文字が浮かびあがる。
--竹中芳蔵
--六十九歳
--身体障害程度一級
画面が静止され、老人のモノローグとなる。
<僕が一番リラックスできる時間はアダルトビデオを見ている
ときだね>
<一本五千円で一ヶ月にだいたい五本くらい買うね>
<一昨年前までは左手が動いていたからオナニーはできたんだ>
<でももう左手が伸びなくなってしまって自分ではできないんだ>
ふいに主人公の老人が上着をめくり、性器をむき出しにする。
アダルトビデオをみているようだが、左手を必死に動かそうとするが
動かない。
撮影者である孫ほどに年の離れた若い男性が手を伸ばし、彼の
性器を上下によっくりと擦り始めた。
老人は舌を出し、快感を抑えようとしているかのような表情をして
いる。
と、
いうような序章の話。ここから後は本を読んでみてください。
ぼくはその序章の7ページにぶちのめされて、ノックダウン状態。
- セックスボランティア (新潮文庫)/河合 香織
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