最も治安の悪い地区に育ち、喧嘩の傷が元で13歳の時に嗅覚
を失ったというギジェルモ・アリアガ。
大学卒業後に小説家として頭角を現し、脚本で映画界に進出
した。
「13歳の時から映画を撮りたくて、好きな女の子に『将来は作家
と映画監督になる』と言っていた。
監督になるには技術不足だと思っていたけれど、何本かの製作
にかかわって『できる』と思った」
そのギジェルモ・アリアガが脚本を書いた映画に「アモーレス・
ペロス 」という作品がある。
これは闘犬の場面が実に迫力があり、賞取りまくりの作品。
その「アモーレス・ペロス」と、2009年9月に日本上映された
「あの日、欲望の大地で」の2本組みあわせで、先日名画座で
見た。
「あの日、欲望の大地で」は、脚本家ギジェルモ・アリアガの
監督デビュー作。
こちらの方が、面白かった。
シャーリーズ・セロン演じる高級レストランのマネージャー、
シルビアは自分の性を否定するかのように、無軌道にゆきずり
の肉体関係を行い、自分を傷つけている。
それは何故なのか?
母親の不倫を知る少女が、自ら自分の手で皮膚を火で焼いて
も、うめき声ひとつたてずに、堪えられるその激しいほどの強さ
は何故なのか?
シルビアを訪ねて来た、自身の娘と名乗る少女・マリアに対して
彼女はとまどい、全てを捨てて逃げ去る。それは何故?
ラストにはその謎が一つになるのだが、それぞれのミステリアス
な物語に惹きつけられる。
広大な風景の中での人物を撮るロングショットも見事。
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