中山美穂の12年ぶりの主演だという「サヨナライツカ」を観に
いった女性に、感想を聞いた。彼女曰く、
「映画の内容は今一つで、一番思ったことは『年はとりたくないわ』
ということ」
これは、映画としては失敗だなぁと、思った。
日々現実の持つ”せつなさ”を再認識させ、内容としても気持ちを
ゆさぶるところがないとしたら、お金を払って劇場まで足を運んだ
意味がない。
と言っても、自分はまだこの映画をみていないのだから、あまり
無責任なことはいえない。
でもネットの感想を読んでみても好意的な評価がされていない。
ところで、ぼくは「恋するベーカリー」を観にいった。
以前、レンタルしたジャック・ニコルソンの「恋愛適齢期」がとても
面白かった。
その映画の監督と脚本を兼ねているのがナンシー・マイヤーズ
で、「恋するベーカリー」と同じ人だ。
そんなわけで、これは面白いだろうと期待した。
「恋するベーカリー」は、離婚後に三人の子供も大きくなり仕事も
順調で、ふとした時に自分の孤独を感じてしまう中年女性・ジェーン
の物語だ。
ジェーン(メリル・ストリープ)はある時、別れた夫と一夜を共に
し、よりを戻してしまう。
いくら元夫とはいえ、今は別の女性の夫ななわけだから、不倫になっ
てしまうというややこしい関係。
と、同時に中年の建築家の男性とも親しくなっていく。
彼は過去に奥さんに逃げられてしまい深い傷を負っている。
この映画は、先に述べた女性の感想とは逆に
『年を重ねても恋愛は再びおこるのかもしれない』
という夢のある作りになっている。
印象に残ったシーンがある。これは車の中での会話。
ジェーンが建築家に問いかける。
「私のような年齢でもいいの?」
「何を言っているんだ。僕は君より年上だよ。」
「でも、あなたに紹介される女性は35歳くらいでしょう」
「僕は君の年齢も含めて君の魅力だと思っている」
年配の男優、女優がそろって魅力的なせいだろう。
ストーリーも全体的にユーモラスになっていて、物語の中に自然に
入りこめる。
主役のメリル・ストリープを始め、建築家役を演じたスティーヴ・
マーティンも良かった。
さらに元夫役のアレック・ボールドウィンも実にいい味をだして
いた。
まずは、元夫の言葉が前向きなところがいい。
ジェーンは朝、目が覚めてから、元夫と関係をもってしまった事に
とても後悔するのだが、彼は後悔しない。
そして、「やはり、ぼくには君が必要なんだ」ということを何度も
何度も繰り返す。自分の感情に忠実でくよくよしていない。
顔がまたハンサムで見ていてあきがこない。調べたら、今51歳だ。
若いときは、さぞカッコよかったろうと思われる。
この人の別の映画もみたいものだ。
最近の映画では「私の中のあなた」にも出ている。
しかし、メリル・ストリープは今さらながら上手い女優だ。
彼女の出る映画は、どれもがとても面白い。
60歳になるというのに、このパワーは72歳のジャック・ニコル
ソンと並んですごいことだ。
彼女は映画の役を演じるときの心構えに関してこう語っている。
「いまでも撮影前には同じことを自問するわ。このセリフはこういう
風に言うべきか? 私が発する言葉として筋が通っているのか?
新しい側面を引き出せているのか、それともシーンを台無しにして
しまうのか?
演じるキャラクターにリアルさを出す上で、いつも発生する課題よ」。
また、共演者も彼女に関して好意的な言葉で語っている。
「彼女と共演できるなんて、これを逃す手はないよ。彼女はいままで
やった役者の中でもピカイチだよ。役者として引き出しが多いし、
こちらも素材から最高のものが出せる」(アレック)
「自分よりうまい相手とテニスをしてる感じで、上達の早道だよ。
当代随一の女優さんが目の前にいるのにピリピリしたところが全然ない。
毎日現場で顔を合わせ仕事ができて幸せ者だ」(スティーヴ)
この映画は、メリル・ストリープの人柄と役者魂を含めて、成功がある
のだろう。
参照:年を重ねてもハリウッド最前線で輝く秘訣 メリル・ストリープに
習う“女の手本”
cinemacafe.net
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