闇の中の魑魅魍魎 1971年/日本/111分
監督: 中平康 原作: 榎本滋民(血みどろの絵金)
脚本: 新藤兼人
出演: 麿赤兒 稲野和子 扇ひろ子 岡田英次
田代信子 佐々木愛 加賀まりこ
「今まで観た映画の中で一番おもしろかったのは?」
僕が映画好きと知った友達に、何度かこの質問をされた。
その度に洋画では「ブレードランナー」と「時計仕掛けのオレンジ」。
邦画では「嫌われ松子の一生」と「闇の中の魑魅魍魎」と答えている。
けれども、ここでみな同じ反応。
「ヤミノナカノチミモウリョウ?なんじゃ、それ?」
毎回、けげんな顔をされた。昔の映画ベストテンにも出ていない名前
だ。一時期ぼくは、『この映画は自分が夢の中でみた幻なのか?』
と、不安になったほどだ。
(今みたいに、ネット検索とかできない時代だったもので・・・)
しかし、この作品こそがポルノ映画から一般映画にぼくの心と足を
方向転換させてくれた画期的な作品なのだ。
思いがけず、ビデオ屋でこの作品と再開したときは、本当に嬉しかった
ものだ。
当然、映画の記憶を確かめるがごとく、レンタルして早々にみた。
幕末の土佐で活躍した、異端の絵師・金蔵をモデルに描いている。
彼が創作に全てを打ち込む激しい生命の輝きと、若き性の嵐のような
内面を描いている。
この映画から伝わる人間の業、血のイメージ、おどろおどろしさは、
たまらない快感として再び僕の体の芯までしみわたった。
監督の中平康はカンヌグランプリを狙って撮ったものだという。
製作発表の記者会見で、このように語った。
「最初からカンヌのグランプリを狙っていく。おして国内よりも
海外配給を第一に考えます。日本映画の国際進出に貢献したい」
「グランプリの自信は?」
「大いにあります。なにしろぼくは、アチラで高い評価を受けた実績
があるのですから」
翌朝の各紙の芸能欄には、この記事がデカデカと出たという。
しかし、カンヌでの映画上映後の翌日から出た新聞では、「やたらと
血を噴出させるばかりで、そのオリジナリティは完全に影をひそめた」
と、ローロール紙などは評し、あまり評価されず映画は賞は逃した。
しかし、このようなインパクトのある熱い作品は、ぜひDVDにして
後世に伝えてほしいものだ。たぶんぼくのように、この作品に
のめり込む人もいると思うのだが・・・・。
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