魂で世界を旅して、見たことを分析しお告げのように人々へ伝える、天山の巫女たち。主人公ソニンは12歳になるころ、見込み違いだったということで家へ帰される。暮らしに慣れて友人もできた頃、国の7人の王子たちの行列を見ていたソニンは、落し物をきっかけに末のイウォル王子の侍女となる。巫女として育ったソニンとってお城は驚くことがいっぱいで・・・という話。
城内の陰謀に巻き込まれたり、隣国である巨山や江南との外交問題、巨山のイェラ王女や江南のクワン王子との交流などなど、ソニンは数々の出来事を経て成長していきます。
児童書なので字は大きめだし、ですます調だし、読み始めたときは「ちょっと子どもっぽすぎたかな~」と思ったのですが、1巻を読み終わった頃には「面白いじゃん!」と思い、さらに読み進めていくと「子どもが読んでも面白いだろうけど、大人が読むと深い!」と思うようになりました。
「欲が無いのは本人の幸せにとっていいことなのか?」とか。「普通の(流されやすい)人が、1番恐いのかも」とか。「噂や人が下した評価だけを信じずに、自分で判断しないと!」とか。いろいろ考えちゃいます。
そして、改めてイメージの大切さを感じました。深く付き合ったことのない相手はイメージで判断せざるを得ないし、政治家なんかもイメージで評価をしがちです。けれど、イメージが良くても実際は自分にとってマイナスになる人であることも多いんじゃないでしょうか。・・・三国が緊張状態にあったり、国の中で分裂しそうになったシーンでの国民の態度を読んでいて、そういうことを強く思ったのです。
ソニンがある事件の濡れ衣を着せられたとき、ソニンの家族が住んでいたところを出て行かざるを得なくなったり、火事場泥棒みたいなことをされたり、ということがあるのですが、実際に日本でもそういうことってありますよね。それがいつもとっても腹立たしくて。集団×間接的×匿名という、気に食わない3点が重なっているからだと思います。読書をしていると、やっぱり普段思っていることに1番反応しますね、どうしても。
ソニンは天山で育ったため、考え方や言動がどこかずれているのですが、そこも面白いです。ソニンの友人・ミンはソニンと育った環境も考え方も違うので、2人の対比も興味深いところ。
全体的に淡々として静かな雰囲気がありますが、穏やかながらも「戦争を望む人」「弱者に酷い人」など人間の嫌な部分も描かれているので読み応えがあります。
書店ではあまり見かけないけれど、取り寄せたり図書館で借りたりして、ぜひ読んでみてください
その際、1巻で終わらずに2巻、3巻と読み進めてみることをオススメします。巻を重ねるごとに読み応えが増していくので・・・。