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かけはし

日本とヨーロッパの交流コーディネイターのさんぼです。
草の根のちいさな交流が広がれば、きっとお互いにわかりあえる、受け入れられる。

乳がんと診断されて、しかも両方で、片方が大変増殖スピードが早いアグレッシブな腫瘍と診断されたので、すぐに化学療法が予定されて、2週間ごとのAC療法を4回、その後1週間に一度のパクリタキセルという抗がん剤を12週間、を始めるつもりでしたが、スタートの直前にキャンセルになったのは前に書いた通りです。


わたしがもう2週間以上待っているのはOncotypeと呼ばれる遺伝子検査の結果です。この検査は日本でもやっていると思います。ただ、全ての乳がん患者がこの遺伝子検査を受けるわけではないようです。実際、わたしの場合は最初の病理検査の結果が、増殖早くアグレッシブな、明らかに化学療法を必要とするタイプ、とされていたので、Oncotype検査などはやらずにすぐケモテラピーとなるはずでした。

ところが病理の結果が修正されたので、ケモテラピーを直前でストップして、Oncotypeテストに検体が送られたのです。

この検査では、がんの詳しい素性、果たして化学療法に反応するタイプか?再発リスクはどの程度あるか?などが明らかにできると言われています。


わたしなんて、仕事は代わりの通訳を見つけ、運転手も手配し、大車輪で資料をまとめ、脱毛に備えて髪を切って、あまつさえ日帰り手術でポートまで入れたのに、もう2週間も治療がストップです。準備万端整えたのに、予定がキャンセルになる無念。


わたしのがんは、ホルモンに依存しているタイプですから、ホルモン剤を治療のために服用しているとは言え、そんなの直径5ミリぐらいのちっちゃな錠剤ですよ。治療をやっている気分になれない。なんか、両胸のがんをそのまま2週間以上放置している気がしてなんだか不安になります。


最も気にくわないのは、わたしは今まで多くのことを自分で計画して、自分で決定して先に進めてきたんです。第三者の出方で自分のプランが全て変わってしまうということに慣れていないし、苦手なんです。

自分で検査機関に行ってちゃっちゃっちゃと検査させて、オンコロジストと乳腺外科医にこっちから指示を出したい。


今後、起こりうるシナリオとしては、


① まず手術、その後放射線か、化学療法。あるいは両方、あるいは手術の後はホルモン療法だけ。

② 予定通りフルコースの化学療法。これをやったら時間かかりますよ。だってケモだけで少なくとも5ヶ月かかって、その後手術ですからね。

③ 12週間のケモの後手術。


わたしは、二度医者にメールを出しました。なぜかと言うと、ほとんどの連絡や説明が電話だったからです。ドイツ語は日常会話や慣れ親しんだ仕事の上では困ることはありませんが(相手が困っているかもしれないけどね)、医学関係になると話は別です。日本語で説明受けたってわからないかもしれません。だから、わたしの理解はあっているかの確認と、後から出てきた質問事項も合わせてメールを送ったんです。


オンコロジストは、最初の面談も1時間ぐらい時間をとって、説明してくれて、非常に丁寧な人との好印象を持ったんですが、メールにも割とすぐに電話で返事をくれました。これで返事がメールだったらもっと良いんだけど、文字にして証拠を残したく無いのかなあ、とにかく医者からの連絡はほとんどが電話ですね。誤解はしておらず、やはりここは覚悟を決めて検査結果を待つのが最良だと言うことも納得しました。


仕方ない。もう出来ちゃったものは、無かったことには出来ませんからね。まな板の上の鯉と言うか、とにかく何かしらの治療を実施しないと、悪くなることはあっても自然に良くなることは考え難い。ならば待つしかありませんね。


しかし今までの人生で、ここまで自力対応が全く不可能な状態に置かれたことはあまり経験がないので、これは修行と思うしか無いですね。



綺麗に盛り付けたお食事は、アルゴイ地方のホテルの夕食。現在我が社は国鉄代替バスをアルゴイ地方で運行しており、運転手宿泊ホテルは、ご飯がとても美味しいんです。この代替バスを運転したのが最後の客を乗せての運転でしたね。

ソースに浸かったお肉はドイツ名物ローストポーク。わたしはこれがかなり好きで、頻繁に作っています。夫と二人なのにお肉は1キロ調理。明日も食べます。飽きない。フライは次女が作ったチキンカツ。次女は週に何度か料理をしてくれます。ちょうど良い塩梅の味付け。わたしのご飯を食べて育ったから当たり前かもしれないけど。そして長女が「がんには枝豆」としつこく言うので、枝豆サラダ。


さんぼ



ドイツに住んでいてよかったと思うのが、標準治療を全て健康保険でまかなえることですね。

これは以前の下顎腫瘍の手術の際にも思いましたし、日記でも書いたと思いますが。

日本の保険会社では「がん保険」的なものが商品として展開していますが、ドイツの保険会社ではそれを見たことがありません。調べればあるのかなあ。特別な保険がなくたって、ほとんどの標準治療が保険でまかなえるからです。

ドイツでは、例えば入院の際に個室や二人部屋を選べるなどの特典がある「追加保険」と呼ばれる商品がありますが。


今まで行った検査といえば、まず生検ですね。そしてCT、骨シンチグラフィー。あとなんだっけ?心臓の検査もしましたね。EKGと言うのかな?。あとはポート設置手術を日帰りで。

そして飲み薬のホルモン剤を処方されています。


で、今までにわたしが支払ったのは、病院の駐車場代で、合計で12ユーロぐらい。円では2000円ぐらいですかね?後薬局で処方された薬一種類につき一律に請求される5ユーロ(900円ぐらい)のみ。


病院には、会計という場所が存在せず、診療や検査が終わったらすぐに帰れます。


日本ではいちいち、検査ごとに3割の請求が来るんですよね。そして検査後、会計で支払わねばならないのですよね。生検もお金がかかるんだろうか?診断のために必須の検査なんだけど。


癌と診断されて、心細く、不安なのに、さらにはお財布の心配までせねばならないなんて。あまりにも無慈悲すぎると思う。ドイツに言いたいことはいろいろあれど、わたしが今だにここに住むことを選んでいるのは、ドイツのこういうところを高く評価しているからです。

今回は流石のわたしもかなり落ち込んで鬱々となりましたから、これに検査ごとに数十ユーロとか数百ユーロ飛んでいったとしたら、もう治療を始める気力も削がれたと思いますね。確か高額療養費制度があったと思いますが、それだってまず自分で立て替えるんだと思うし、そもそも日本のことだからその申請とか結構面倒なんじゃないかと推察する。病気になったら生きるのだけで精一杯なんですよ。

我が母国、日本の健康保険制度がドイツ並み(こう言う言い方も良くないけれど)になるのはいつでしょうか?どうして日本では不可能なんだろうか?


ちなみにドイツでもお金がかかる検査はあります。これはその検査が標準検査とされていない場合です。例えば癌といえば、転移の有無を調べるために、よくPETーCTの検査をするようですが、ドイツでもこれは出来ますが、わたしに対しては標準でなかったので、やりたいなら自費でした。700から800ユーロだったかな?

わたしは、最初の段階では、まず化学療法から開始することになっていたので、どこに転移があろうが、治療の流れは変わらない、と思ったことから、PET検査は全く考慮しませんでした。余計な心配事をあえて増やす必要も無いのでね。


しかし今後、例えば手術のあとしばらくしてから、とか化学療法の切れ目とかにPETをやりたいと思うことがあるかもしれないし、案外標準検査として行うタイミングもあるかもしれない。


そうだ。脱毛のために美容院には行ったな。これも癌関係の支出と言えないこともない。70ユーロ。ものすごく親切な美容師さんでチップをすごくはずんだ。


今後考えられる支出は、家事手伝い。これは必須なので保険会社にも現在問い合わせているところ。我が家は夫も癌治療中だし、そもそも家事関係はほとんど役立たずなので、お手伝いが欲しい。


今後もいろいろと癌関係の支出が続くと思うけど、記録していこうと思う。


楽しかったウィーン旅行の写真をいくつか。フンデルトヴァッサーハウス、市民公園のエリザベート像、ヴォーティフ教会、ベートーヴェン博物館の前。


さんぼ





またテーマ、「ドイツの病院」を使うことになりました。

日記をお休みしている間、かなり色々なことがありまして、このことを書くのはどうしようかな、とちょっと迷いましたが、これは個人的な記録でもあるし、やはり書いちゃおうと決めました。

どうして迷ったかというと、あまりのショックに書く気力がなかったのと、現実逃避をしたかったからだと思います。

今のところ初期とされていますが5月のはじめに両方の乳がんが発見されました。


ドイツにお住まいの方は注意した方が良いと思うのですが、現在婦人科は多くの街で新規患者の受け入れを停止しているようです。これは問題になっているけれど。


わたしは、数年前に日本の妹が難病になったため、かなり頻繁に日本に行くこともあり、婦人科検診は日本でやっていました。自費になるけれど、日本では間違いなく時間があるので便利だったんです。したがってドイツの婦人科はかなり長期間ご無沙汰していました。5年ぐらい行っていなかったかも。

長期間医者にかからないと、かかりつけ医の「顧客リスト」から外されて、「新規患者」ステイタスになります。

わたしは胸にしこりを発見しましたが、わたしを受け入れる婦人科はわたしの住む街にはありませんでした。家庭医から「急速に発達するしこりがあるので早急な検査を求める」など書かれた紹介状を持って行ってもダメでしたね。

ドイツ在住の方は、たまには(用がなくても)診療所に顔を出しておくことをお勧めします。でないと「新規患者」とされて、予約を取るのがすごく大変になりますよ。


そこで「もう良いや」と放っておくのがいつものわたしなんですが、今回はなぜかしつこく医者を探して検査に行きました。

どうやって探したかというと、医者検索アプリを使って探したんです。

アプリはDoctolibというもので、近辺の新規患者受け入れ可能の診療所なども検索できるようになっています。緊急時にも対応しており、いろいろな使い方ができるようなのでおすすめです。


そのアプリで探し出した婦人科で、手に触れたしこりのみならず、反対側にもナニカある、とのことで、早速専門医に紹介してくれたんですが、ここからはすごくラッキーで、なんと診察してくれた日の夕方に、婦人科医の元同僚である近くの街の総合病院の乳腺外科のトップの医者が自らわたしの携帯に連絡をくれて、次の日に生検になりました。

これはかなり早いパターンで、ラッキーだったと思います。


総合病院までは車で20分。実はわたしの夫も去年の夏からこの病院で膀胱がんの治療をしているためにお馴染みの病院で、われらの長女が高校を卒業してからオペナースの修行を始める前に実習をした病院でもあります。我々夫婦はこの病院の常連さんになるんでしょうか?


生検は、まあこれからこの検査をする人もいるでしょうからあまりはっきり書くのもどうかと思うけど、はっきり言って、わたしは今まで散々痛い思いをしてきましたが、その中でも5番目ぐらいに入るほどの嫌な痛みを伴う検査でした。

痛いのは一瞬ですが、圧迫とショックを伴う苦手なタイプの痛みだったんです。しかも両方ですから、かなり嫌な体験でしたね。


そしてその検査の1週間後ぐらいに、乳がん、それも両方、それもどっちも別タイプのがん、と診断されました。

最初の所見は早期がんですが、片方の腫瘍のタイプが増殖が高速のタイプとされていたために、提案された治療は、2週間に一回のAC療法を4回、その後1週間に一回の化学療法、その後手術でした。


このAC療法は、長女によれば、「赤い悪魔」と呼ばれている薬剤を使用する本気の化学療法らしく、散々脅かされてわたしも覚悟を決めましたね。しかし最初の診断書を受け取った後、追加検査の結果がいくつか来たのですが、それを見る限り、本当にそんなインテンシブな化学療法が必要なんだろうか?と疑問に思ったのも事実です。そしてその疑問はわたしのオンコロジストに伝えました。


疑問はありましたけれど、とにかく指示されたように、骨シンチグラフィー、CTなどの検査、化学療法の準備でポートも鎖骨のあたりに設置しました。

このポート手術の術前の医師との面談の際は、わたしの精神状態が最悪な時期で、医師に3年前の顎の腫瘍で散々辛い思いをして今でも副作用に悩んでいるのに、今度は乳がんでしかも両方!と愚痴をこぼして、わたしは痛い思いも辛い思いも一切したくない、と宣言し、ポート手術は普通は局所麻酔なのですが、「わたしに何をされているか一切見たくない」と言い張って、眠った状態で処置してもらうことになりました。


そしてポートは設置されて、髪もまず間違いなく脱毛すると言われたために、脱毛のショックを軽減するためにショートに切りました。わたしは長い間ロングで、顎の手術の際にショートにして、それを大事に伸ばしてきて、現在はボブで落ち着いていたのにまたショートです。本当に残念。でも実は評判良いんですよね。みんな中途半端で鬱陶しいボブよりもショートの方がずっと似合うと言ってくれます。


で、現時点で報告できることはここまでなんです。

化学療法の開始の前の日の夕方に医者から電話があり、病理の追加検査の結果をもう一度検討した結果、本格的な化学療法を開始する前に、もう一度検体を遺伝子検査に送って、その結果で今後の治療を考えることになって、今その結果待ち中なんです。


ポートも設置し、髪も切って準備万端だったのに急にストップになって不安でいっぱいではあるけれど、もともとわたしは化学療法が本当に必要なのか懐疑的だったこともあり、余計な治療は受けたくないので、結果を忍耐強く待とうかなと思います。


がんの診断を受けたけれども、予定していたお友達とのウィーン旅行は決行。


ポート手術の予定があったので、みんなよりちょっと早く帰宅しましたが、すごくすごく楽しかった。

カラバッジョ派の「エマオの晩餐」もパチリ。

有名なシュニッツェルも。


今後も、記録のために病気のことは書いて行こうと思いますが、わたしは風邪もろくにひかない、お腹も壊さない、常に元気なんですが、病気になるとなると、大袈裟な病気になる傾向があるなあ、とつくづく思いますね。


さんぼ