今年は本当に色々なことがあった。特に後半は、さすがのわたしもかなり落ち込むことの多い日々でした。

コロナ禍を生き延びるために、ツアーバス会社から代替や路線バス会社に鞍替えしましたが、ツアー時代のように、仕事の選り好みはできなくなり、路線も代替バスも何がなんでも運行させねばならないために、シフト作成は困難を極めたし、結局はわたしや夫が飛び回る羽目になって、大型二種免許を取得したことをつくづく後悔しましたよ。

社員にはきっちりと休暇や病欠は取らせて、その穴埋めにこっちは家庭生活を棚上げにして仕事ばかり。こんなのは人生じゃないなあ、と思う。

完璧に休めたのは日本への里帰りの時だけだったんじゃないか？

美食三昧だった日本滞在。

しかし、忙しいだけならまだ良いんだけど、辛かったのは大事な人とのお別れ。

ある夜、お友達からの着信があった。彼女は、よほどのことがない限り、21時過ぎに電話をかけてくる人では無い。ある予感と共に電話に出たら、それは敬愛する人の訃報だった。

長い間、持病と共に過ごしていた人だけど、それを受け入れて、強く、家族を支えて真っ直ぐに生きている人で、その生き方を尊敬していた。

ほんの小さなことでも、彼から教えてもらったことは忘れないし、実際ここ何年も2日に一回ぐらいは彼のアドバイスを思い出しながら生きている。

例えば「左手の法則」。彼は規律を保つのを重要視しており、地下室の工具置き場なんかも、全てがあるべき場所に仕舞われていて、ナニカが無くなる事なんて無い生活でした。

それに引き換え我が家は、モノが散乱し、いざ使いたい時にはどこにあるかわからないのが定番で、わたしも夫も探し物に人生のかなりの時間を費やして生きています。

彼は、何か道具を用いて作業する場合、その道具を手から離さず、場合によっては左手に持ち替えても手に持っておき、その道具を使う作業が終了し、所定の位置に戻す時にはじめて手から離せ、とアドバイスしてくれました。これは道具を使っての作業の場合だけでなく、いつでもこの概念は応用できます。

彼のアドバイスをもっと頻繁に思い出し、思い出すのみならず、習慣化しなくては。

彼が丹精していた梨と家庭菜園と言うには本格的すぎる野菜畑。

また、11月終わりに、我が社の大事な運転手が事故で亡くなりました。これは誰にでも起こりうる事故で、わたしだったかもしれないような事故でした。このため、車両は廃車になり、大事な大事な人が亡くなりました。

喪失を悼む時間もわたしと夫には与えられず、その事後処理に駆け回り、いまだに色々な手続きが残っています。

しかも、一台なくなったので、早急にバスを購入し、銀行の更に良い顧客になってしまいました。

亡くなった運転手は、ベテランで、一つの路線を完全に任せていたので、急遽彼の代わりを見つけるのも困難を極めました。わたしと夫はその路線ルートを知っているので出来ますが、事故の後のさまざまな手続きで身動きが取れなかったし。

廃車になったバス。これはわたしも良く乗ったバスです。とても長い、14m以上のバスで、慣れないと角を曲がれない人もいるかもな。

先日彼のご家族のところに挨拶に出向いて、さまざまな書類を作成したり彼の思い出を語り合ったりしました。娘さんと息子さんはもうとうに成人しているとは言え、まだ独身で、息子さんは地域のサッカーチームのトレーナーをしており、彼は休みの時はよく試合を見に行っていました。娘さんは彼そっくりの美人で、とても自慢にしていました。宗教的な関係で、ドイツでは祈りの儀式だけ行われて、埋葬は母国で行われることになっていたけど、祈りの儀式の際の娘さんのお父さんを呼ぶ声に胸が張り裂けそうでした。

後半に色々と辛いことが多かった年でした。家事などする余裕は皆無で、クリスマスも適当なご飯で切り抜け、お正月もおそらくわたしは夫とイタリアあたりまで、とんぼ返りのトランスファーをすると思うので、もう特別にお正月のご馳走の買い物もしなかった。

来年は、絶対に仕事を減らします。人員増員は、難しいことがわかったので。本当に運転手なんていないんです。

年の最後になんだか暗い話を書くのも、非常識かもしれないけど、やはりわたしの今年の日記の締めくくりには、大事な人たちの事を残しておきたかったんです。

わたしにとっては、大晦日もお正月も今年はあって無いようなものですが、この日記を読んでくださったみなさんが平和で良いお正月をお過ごしになりますように。

さんぼ

今年を振り返る。2023年