突然の強い揺れに、立ちすくみました。
 2024年1月1日、雪のない正月の金沢。
日課のウォーキング途中、地面が大きく揺れました。
震度5強という激しい揺れは、10秒以上続いたと思います。
16時10分のことでした。

突然のことで、その場に立ちすくみました。

 

 時間が経つにつれ、能登半島の北部を中心に、大きな被害が出ていることが明らかになっています。被災された方々に、心よりお見舞い申し上げます。また、悪天候の中、救援活動に当たられている皆様、ありがとうございます。
 今回は、複雑な感情を横において、今回の「能登半島地震 2024」をテーマにします。

 

日本は、地震大国 !!

 これまで体験した大きな地震を、wikipedia の情報を参考にまとめました。

 

 能登半島では、2007年にも大きな地震が起きています。また、2020年12月から地震が頻発していルる珠洲市でも、2023年5月5日、能登地方を震源とするマグニチュード(M)6.5の地震(珠洲市は震度6強)で、1人がはしごから転落して死亡し、計468棟の住宅が被害(全壊 : 9棟、半壊 : 9棟、一部破損 : 450棟)を受けています(2023年5月9日正午時点)。

 

 気象庁の地震情報を見ると、規模の大小はありますが、日本各地で毎日、地震が発生していることがわかります。

 

大地震に伴うリスク
 地震による被害の大きさは、次の4点の重なりによって異なります。さらに、個人的な被害は、本人の居住地の立地(海岸部・山間部、造成地など)と家屋の耐震性が加わります。

 ①津波

 ➁火災(延焼)

 ③地盤の変化(崩れ、液状化)

 ④原子力発電所(原発)の被害に伴う放射能汚染

 

 津波の被害は、東日本大震災のときのことが思い出されます。海岸に面した地域では、大きな被害を受けます。今回の能登半島地震でも、最大4mの津波が押し寄せたとのことです。

 

 火災の被害は、輪島市では、観光名所の朝市通り周辺が消失しました。延焼しやすい木造の家屋が密集する地域であったことと消火用の水が十分に使用できなかったことが、大火事につながりました。

 

 地盤の変化では、裏山や造成地が崩れて、家屋の崩壊や道路の損壊(土砂崩れ、亀裂、陥没、隆起)が起きています。また、金沢市に近い海側の内灘町では、“液状化” によると思われる家屋と道路の被害を受けています。

また、今回、輪島市から志賀町にかけて約90 km の海岸線で、地面の隆起(輪島漁港では3.9m)が観察されています。

 

 そして、最も被害を大きくするのは、原発の被害による放射能汚染です。それは、東日本大震災の被害を受けた福島原発の現在の状況を見ればわかります。

地震発生から12年以上も過ぎたのに、福島原発の廃炉作業はほとんど進んでいません。そして、今なお、周辺では立ち入り禁止地域のままです。全面復旧には、この先、膨大な時間と費用が必要です。

 

 震度7と今回の地震で最も揺れた志賀町には、運転中止している志賀原発があります。現時点で、大きな被害についての報道はありませんが、地震被害の報道が続いています。被害状況が目に見えないだけに、とても不安です。
もし、福島原発のような事故が起きていたら、石川県だけでなく、近隣の福井県、富山県、岐阜県、新潟県や長野県にも大きな被害が生じた・・・と思います。


 今回の地震で大きな被害を受けた珠洲市(三崎町寺家)にも原発建設の計画がありましたが、2003年12月5日に計画が凍結されています。建設予定地域は、今回の地震だけでなく、2020年以降、地震が続いています。もし、計画どおりに原発が稼働していたら、大惨事となっていた・・・かもしれません。

 

救援物資の受け付けも効率的に行われている

 今回の地震で被害を受けた各自治体では、救援物資に対して次のような告知をしています(例. 金沢市)。また、受け付けは企業・団体に限り、個人からの救援物資を受け付けていません。

 

 阪神淡路大震災の時、日本薬剤師会の派遣でポートアイランド(神戸)で作業したときの経験を思い出します。
 個人から送られてくる薬や健康食品は、一部使用されているもの、有効期限が不明なものがかなりあり、それらが一つの段ボール一杯に詰め込んであるので、仕分け作業に大変苦労しました。

 また、展示場には、全国から送られて来た支援物資が山積みされているのを見て、せっかくの善意が、十分に生かされなかったのではないか・・・と心配したことも。

 

 このように必要な救援物資を指定すること、また、有効期限や箱単位での提供について協力をお願いすることは、数量管理を含む仕分け作業の効率化に必要です。おそらく阪神淡路大震災の時の経験が生かされている・・・と思います。

 

新しい支援のアィディアが色々と・・・

 自然災害(台風、大雨、大雪、地震、火山爆発)の多い日本では、被災者のための色々な支援設備が使われています。それのうち特に印象に残ったものを紹介します。これらはすべて、海外での災害支援にも応用できます。
 

(1)プライベート空間確保のための簡易テントと段ボールハウス

 “衣食住”・・・それは、人が生活する上での基本です。衣服は身を守り、食事は栄養を供給し、そして、住居は安らぎと安全を提供します。大学時代の日本一周ヒッチハイク(延べ6週間)の経験では、最も重要と感じたのは “住” でした。

 

 おそらく、被災者にとっても、安らぎと安全を得るための “住” が最も重要だと思います。雨や風は防げますが、大勢の他人と一緒の避難所では、プライバシーが守れず、安らぎは得られません。それを少しでも解消するために、避難所の中に、簡易テントや段ボール製ハウスが設置されています。

 

●簡易テント

 下の写真は、1月9日7時45分からのNHKローカルニュースで報道された石川県国際交流センター内に設置された「簡易テント」です。これらのテント内の床面に段ボールを敷いたり、段ボールベッドを置くことで、過ごしやすさが向上します。
 また、このような避難所では、防犯のため夜間も電灯が点灯しているので、アイマスクがあると助かります(これは、個人的な経験によるもの)。


 

屋内用インスタントハウス インスタントハウス(2024年2月10日追加)
 名古屋工業大学の北川啓介教授が室内用として考案したもので、これまでのダンボールブース仕切りに天井をつけたことで、テントのようなプライベート空間が作れます。安価で子供でも簡単に組み立てができるとのこと、このような研究開発、大切ですね。

 

(2)トイレ・トレーラー

 水も電気もない避難所でのトイレ問題は深刻です。大阪府箕面市を1月3日12時42分に出発した「トイレトレーラー」は、同日21時18分に石川県七尾市立中島小学校に到着しました。それ以後、全国から、何台もの「トイレトレーラー」が被災地に到着しています。被災者は、とても喜ばれているとのことです。

 

 一般社団法人・助けあいジャパンが中心になって進める「災害派遣トイレネットワークプロジェクト・みんな元気になるトイレ」には、全国20の自治体が参加しているとのことで、今回の派遣は、このプロジェクトによるものです。

 このトレーラーの価格は1台80~130万円なので、購入が決まった「トマホーク・ミサイル」1機(約5億円)で、約400台を用意できますね。

 

(3)大型フェリー

 地震被災者が休養できるようにと、1月14日から、七尾港(七尾市)に停泊する大型フェリー「はくおう」(約1万7000総 t)で避難者の受け入れを始めました。船内では、調理したての夕食と朝食や大浴場での入浴ができます。また、希望者には1泊2日の滞在もできるとのこと。被災者の皆さんにとって、ひとときの安らぎになると思います。

 

 チャーターしたフェリーは2隻で、もう1隻は、救援に当たる自衛隊員、被災地支援にあたる国や自治体職員の活動拠点として使用されるとのこと。

 このようなフェリーのチャーターは、被災者の休養目的で2016年の熊本地震でも行われたとのことですが、海に囲まれた日本の場合、海路からアクセスできる大型フェリーは被災者支援に役立ちます。そして、着岸した現地で、医師・看護師・薬剤師など医療職も乗り込めば、被災者の安心感が高まると思います。
(ただ、フェリーの手配は、防衛省ではなく、総務省のお仕事では・・・)

 

 あと・・・必要なものは、災害時に利用できる「ソーラー蓄電装置」。できるだけ小型で大容量のものの開発と災害リスクが高い地域での備蓄を進めてほしいと願います。

 

 今回、トイレ以外に移動式ランドリーやお風呂のトレーラーが全国の自治体・団体から支援に来られています。今回の被災地の状況を見ると、ソーラー充電装置搭載のトレーラーも必要です。

 

 薬剤師としては、モバイル・ファーマシーが被災地支援に役立っているという記事は、とてもうれしい !!


“災害大国” 日本で暮らす・・・ということ
 地震発生から約20日。
能登半島地震についてのマスメディアの報道は、これから少しずつ減っていきます。でも、被災された方々の不自由で不安な生活は、報道量に関係なく、この先もまだまだ続きます。


 今回、被災されなかった方も、“災害大国” 日本で暮らす限り、この先、台風、大雨、大雪や地震などの自然災害による被害を受ける可能性は少なくありません。幸い、自宅はほとんど被害はありませんでしたが、近所の家屋2軒の側面の壁が崩れました。同じ地域でも住む場所の立地条件で、「被害の受けやすさ」と「復旧のしやすさ」は異なります。

 

 自然災害を避けることはできません。今回の地震で、最新のハザードマップを確認して、自分が住んでいる地域の「被害の受けやすさ」と「復旧のしやすさ」について、そして、被害を最小にするために必要なことについて、関心を持って調べることが大切だと思いました。

 

●最後になりますが、今回の地震に関するテレビ報道で疑問を持ったこと。
 それは、被災者へのインタビュー映像です。特に、安否不明の家族の救助作業を見守る人や崩壊した自宅の前で呆然と立ちすくんでいる人のインタビュー映像は、報道に必要でしょうか?
 本人の承諾を得た上でのことかもしれませんが、ご本人は、正常な判断ができる状態ではありません。映像としてはインパクトはあるかもしれませんが、報道する側の方々は、被災者の置かれている状況への理解が必要だと思います。

【追記(2024年2月15日)】
 地震発生から1.5か月が経ちました。支援者のサポートにもかかわらず、報道映像で見る限り、被災地の復旧は思うように進んでいません。
 この記事、参考になりました。