20年以上前のことですが・・・(ま、“資料館”なので)

散剤を量る時、

手にした製剤容器の会社マーク(ロゴ)の大きさが、ずっと気になっていました。
「なぜ、製剤名や成分名や含有量より大きいのだろう !?」

(40歳以上の薬剤師の方にとっては懐かしいマークです)

 

薬剤師にとっては、会社マークなんかどうでもよく、
製剤名、成分名(一般名)と濃度が大きく印刷されている方が助かります。


 

そこで、後輩薬剤師の協力を得て、
➀容器ラベル上の注目する表示項目

➁表示項目面積のラベル全体に占める割合

について、調査してみました(2002年11-12月)。
 

容器に貼られているラベルには、色々な情報が書かれていますが、
薬剤師、薬学生と製薬会社MRそれぞれ25名に、

「注目する情報項目」を選んでもらいました。

 

その結果を、次のグラフで示しています。
「商品名」については3グループとも注目度は高いですが、

それ以外は、かなり違いがあります。
特に、「会社名」と「会社マーク(ロゴ)」はMRの注目度が高いです。


 

表示項目面積のラベル全体に占める割合を、下の図に示しました。
薬剤師としては、左から右へと面積割合が減少することを期待しました。
でも、期待は裏切られ、
「会社名」と「会社マーク」の占める割合が多いということが分かりました。

 

この調査結果は、

なぜか朝日新聞で紹介されました(2003年10月4日)。


医薬品医療機器等法で製剤本体の表示項目は決められていますが、
医療機関で医薬品を扱う側にとっては、
使用者が必要とする情報項目(医薬品名含有量)が目立つ表示が必要です。

製薬会社との「常識」の違いを実感した事例です。


余談ですが、

薬剤師として金沢大学病院に勤め始めた頃(1977年)、
確認できるように、裏側でもいいから、

「容器に“常用量”や“上限量”を書いてはどうか」と、

調剤室の先輩に提案したことがあります。

 

「常用量を覚えるのは、薬剤師として当然のこと !!」と、
先輩方に呆れられました(今は、どうなんでしょうか?)。

 

当時は、「記憶に頼る仕事は危険 !!」ということが

安全管理の基本として受け入れられる時代環境ではなかった・・・のです。