スティーブン・ジョブスのスタンフォード大でのスピーチ | Bohemian78-ambのブログ

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ここ数日はメディアもネットもジョブスの追悼に関する話題で持ちきりだ。
あえて言及するまでもないが、触れないわけにもいかない。

Apple社が今のパソコンのベースとなるApple IIを発表したのは1977年。まさにキャンディーズ解散宣言の年である。
あれから34年。今やネットさえあれば何時でもどこでも自由に好きなコンテンツを楽しめ、地理的制約を越えてファン同志がつながることができる。そんな時代を当時誰が想像できたろうか。この34年間のイノベーションにジョブスが果たした役割は計り知れないものがある。。

1977発売のAppleIIは8bit CPUでメモリーは16Kbyteくらい。メモリー最大拡張でも64kByteだろう。5.25インチのフロッピーディスク容量はたったの80Kbyte。 Kbyteの1000000倍のGiga Byteを平気で口にする今からみれば雀の涙の様なものだ。もちろん画像音声の様なマルチメディアを扱う必要もなく、当時発明されたVisiCalc という表計算ソフトが動くだけで多くのビジネスマンや大学生は狂気乱舞したらしい。80文字x24行のディスプレイと低解像度16色のグラフィックスで十分だった。


1984年のMacintoshではマウスとアイコンで操作する即物的でわかりやすいマルチウィンドウのインターフェースが導入された。革命的だった。とにかくお洒落でマニュアル無しでも使えるくらい賢くて気がきくマシンだった。また編集画面=印刷結果という一貫性を実現した事も特筆に値する。これらのアイデアの多くはXeroxの研究所から来たものだが、いち早く商用化したことによりデスクトップパブリッシング(DTP)というコンピュータによる印刷革命を起こした。画面で見た文字フォントやイメージがそのままプリントアウトされる。今では当たり前のだけどマイクロソフトのMS-DOSを積んだIBM PCやPC-98ではあり得なかった。ユーザは無機質な文字記号の世界と印刷イメージの世界を行ったり来たりする作業に思考を邪魔されたのではないだろうか。Macintoshはコンピュータが真に人間の思考を助ける道具となった記念すべきマシンだと思う。当時MS-DOSパソコンのユーザだった私はマイクロソフトのOSがこのレベルになるのに1992年のWindows3.1まで待たねばならなかった。しかもそれは決して満足の行くものではなかった。

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MacintoshはDTPだけでなく画像、音楽やアニメーションをコンピュータで扱うマルチメディア時代を予感させるものだった。1991年頃にはMacの中で低解像度の動画が動き、やがてデジタルノンリニア編集も実現。画面上で映像を自由につなぎ合わせる概念を見させられた時は度肝を抜かれた。マルチメディアの個々の要素技術は各社に存在したがそれらを統合して最高のマルチメディア環境を実現できたのはMacintoshだけだった思う。(SunやSilicon GraphicsのWorkstation等はあったが高価で特殊用途に特化していた。)

アップル追放後のNext社での彼の仕事は幸運にもコンピュータグラフィックスやUnix系で培われたきた分散ネットワークコンピューティングを彼なりの美学で昇華させる格好の機会となったことだろう。グラフィカルなI/Fとの対話を通じネットワーク上の他のコンピュータと連携しながらコンテンツを制作していく理想形はこの頃に出来あがったのではないだろうか。

この後のインターネット革命自体はジョブスが先行して起こしたというわけではないが、彼がマルチメディア分野で実証してきた多くのアイデアが今のYoutube等に多大な影響をもたらしていることは間違いない。さらに利権が複雑に絡む音楽業界のタブーを打ち破って音楽ダウンロードサイトiTunesを立ち上げた事は、彼のカリスマ的交渉力のすごさという点でこれまた特筆に値する。その後の事はもはや説明するまでもない。

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キャンディーズの解散から33年。今日もiPhoneを持ちだせば手のひらの上に3人の美しい動画を呼び出すことが出来る。しかもネットの先の仲間と楽しく感動の共有まで出来る時代になった。

スーちゃんは今頃天国でジョブスと会っているだろうか。ジョブスはS○nyの創業者をを尊敬し禅の文化にも影響を受けていたというからキャンディーズの事も少しは知っていたかもしれない。
「あ、Sue、君か。名前は日本の社員から聞いた事あるよ。ほぼ同じ世代だな。お互いやり残した事はあるけど自分の仕事を愛して精一杯やったから満足だよな。ハハハ」


以下はスティーブンジョブスのスタンフォードでの感動的な講演のビデオ。
(日本語字幕付き)
前篇


後編



「素晴らしい仕事を成し遂げるには、それを愛する事だ。」
「愛する仕事というのは、素晴らしい人間関係と同じで、年を重ねるごとに自分を高めてくれる。だから探し続けること。落ち着いてはいけない。」

これらの言葉が重くずしりと来る。俺はいったい。。。。。。

企業経営ではよくKPIとかKGIとかの言葉を聞く。目標が正しく遂行されているか指標を決めて管理しろという話だ。野球選手なら打率ホームラン。アーティストならCD売上。ホテルなら顧客満足度だろう。しかしジョブスにとってKPIやKGIのも最後の"I"は「愛」だったのかもしれない 。時価総額世界最大。やはり最後に「愛」が勝つ。