過失相殺と損益相殺 | たかぶーの事故被害者のためのブログ

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自身も交通事故被害者です

交通事故に関する事を記載していきたいと思います

交通外傷を勉強しています、特に自賠責に対してどう後遺症を認めさせるかに関して勉強しており被害者のお役にたてればと思います

過失割合(過失相殺率)と損益相殺(重複支払調整)


交通事故にあうと必ず耳にして、紛争の元になるものが過失割合、実際には過失相殺率この問題に直面します。


交通事故は民法709条にかかる不法行為という違法行為による行為によって損害賠償の責任が発生します。これを責任原因と呼びます、このほかにも自賠責法3条の運行供用者責任による、車両所有者の責任、民法715条の使用者責任、わかりやすく言えば従業員の起こした事故などの会社、使用者の責任追及の場合、またちょっと変則的に契約上の関連上での事故で民法415条、商法590条の債務不履行責任なんていうものまで存在します。この不履行は交通事故より医療訴訟時に頻繁に問われる責任ですね。


交通事故の場合には,前記3つがほとんど責任原因になっています。


そして、過失相殺というものは
それらの違法行為によって起きた事故において民法は722条2項上で


本項は不法行為における過失相殺について定める。すなわち「被害者に過失があったとき」には、それを勘案して、加害者の賠償責任を減額することが可能であるとする。


と定めていることから発生しています。つまりこの条文を読み取ると当事者間の損害の公平な分担というものが根本にあり、過失とは法上は、注意を怠って認識や予見をしなかった、また回避行為を怠った責任という意味で自分の不注意の責任分は自分で損害の責任を取りなさいと言う意味合いですね。


本来、過失割合というものは司法判断つまり裁判所裁判官にしかその判断権は許されていません。しかし、年間数十万件発生する、交通事故の過失を、すべて裁判所に持ち込まれたら裁判所はパンクしてしまいます。


また交通事故は日常的に起きており、過去の判例も豊富なので、過去の判例を基に事故の発生状態を定型化し、東京地裁民事27部という交通事故専門の部署の判事が一般的な交通事故の過失を書籍にまとめた


【民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準】俗称別冊判例タイムズ16


【民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準】俗称赤い本、日弁連交通事故相談センター東京本部の弁護士が交通訴訟の判例を毎年考慮して上記判タのように過失や慰謝料の算定基準、所謂弁護士会基準を、まとめた書籍


この二つを根拠に、当事者間で納得したなら、その過失で処理しなさいと言う判断基準になる書籍です。保険屋はこの二つの書籍や、これらの書籍にない否定形事案の過失をまとめた書籍、自転車同士の事故の過失をまとめた書籍等を基に、被害者に過失を提示してきていますが、中には全く見当違いの事故形態の過失を基に、過失を主張してくるので、注意が必要です。


過失相殺というものは、お互いの損害に対して、お互いの責任分の責任を持つという意味ですから、お互いの総賠償額を確定させてから、自分の過失分を相殺(減額)します。したがって任意保険で治療費を任意保険が医療機関に内払いしている時などには、保険屋は自分の負担分まで保険屋が立て替えていることになりますから、最終的にこの部分は当然既払い分として通院慰謝料から相殺されることになり、慰謝料は目減りしてしまいます。


従って過失が予想される、交通事故の治療では積極的に健康保険や、労災保険を適応すべきなのです。


次は損益相殺、何か小難しい言い回しですが、既に受け取っている治療費やその他の内払い、また損害項目が重複して実質的に二重取りになってしまうものに対しては、差し引いたり、調整して二重支払いにならないようにすることを指しています。


これはいくら被害者と言っても誰かの損失(実際支払わなくてもいいもの)で被害者が二重に補償を受ける事は公平ではないという観点から検討されることとなっています。つまり言葉は悪いですが、焼け太りは許さない、という事です。


かと言っても、被害者が受け取った補償や保険の金額が全て差し引かれてしまうのかと言えば、生命保険や傷害保険等の自分が保険金を支払っていることに対しての、見返り的な金銭まで差し引かれては、これも公平とは言えなくなりますから、その受け取った金銭の趣旨や公平の観点から、相殺減額するかが決められていきます。


一番有名なのは労災保険使用時の休業給付金の60%の補償部分、労災障害一時金や年金部分の給付日数の部分(逸失利益)保険屋からの内払い等の既払い分があります。但し労災の休業給付金でパートタイマーなどの場合で基本給付日額の基本日給が3960円を下回る場合には、この金額に引き上げられ、給付されますが、この実際上回る金額については慰謝料等から相殺する事は許されていません。


あとは自賠責保険からの既に受け取っている補償金額等、人身傷害補償特約での受取金額。


余談ですが、人身傷害補償特約は後遺障害を残しそうな事案で過失相殺が予想される場合には、事後適応ではなく積極的に事前適応で活用すると経済的利益が出る場合がありますので活用してください。


そして死亡事故時の被害者の生活費の部分、これは定型化しています逸失利益の30~50%が減額されることになります。


ここでは相殺されないとされているものを記載しておきます。


①労災保険の特別支給金、障害特別支給金


②見舞金や香典、また見舞金類するもの、公務員の弔慰金災害見舞金


③自動車事故対策機構による重度障害者の介護費用


④障害者特別給付金や特別児童手当


などなど、但し、過失相殺損益相殺共に、その挙証責任は加害者側にありますから、この点は被害者としては、自分の弁護士に任せておけば問題はありません。