汗をかくことは、体調を整えたり、肌を美しく保ったりする上で非常に重要です。
汗の役割や、適度に汗をかく方法についてお伝えしていきます。
汗をかくことで肌に良い影響がある
汗をかくことは、体温調節の役割の他に、乳酸などの保湿成分で肌を潤し、皮膚表面の細菌のバランスを整えること、アレルギーの抗原を抑えることなど、肌をみずみずしい状態に保つための基盤となる多くの役割を担っています。
ただし、最近では空調管理された環境の増加や、コロナ禍を経て体を動かす機会が減少した影響で、汗をかいて暑さに体を順応させる機会が失われているという人も増えています。
よく汗をかく人に比べて、汗をかきにくい人の汗は、塩分を多く含んでおり、ベタついた質感になり、臭いやすい汗になることがあります。
また、汗の出口である汗腺が詰まると、肌がドライスキン気味になることがあります。
水分に近いサラサラとした汗をかくためには、普段から適度な運動をしたり、意識して外気に触れる機会を作ることが大切です。
汗の主な成分
汗の主な成分には、水、ナトリウムイオン、塩素イオン、乳酸、尿素、カリウム、重炭酸イオンなどが含まれています。
なぜベタベタした汗になるのか?
汗は体に必要なミネラルなどの成分が含まれており、エクリン腺から出る汗のほとんどは水分で、通常はサラサラしています。
汗のもとは血液から赤血球などを取り除いた血漿から作られますが、血漿には体にとって大切なミネラルなどの成分が含まれています。
そのため、導管を通って皮膚表面に排出される過程でミネラルなどを再吸収し、ほぼ水分だけにして皮膚表面へ排出しているのです。(下の図参照:よい汗)
日常的に汗をかきにくい環境で過ごしていると、汗腺のフィルター機能が低下し、ミネラル分が血液に再吸収されにくくなります。その結果、汗と共にナトリウムや塩素が皮膚表面で結合し、ベタベタした汗となることがあります。(下の図参照:悪い汗)
体を暑さに慣れさせる「暑熱順化」が大切
体を少しずつ暑さに慣れさせる「暑熱順化」は、サラサラした汗をかくために重要です。
この過程で自律神経系や内分泌系が調整され、発汗や皮膚の血流が改善され、体温調節機能が向上します。
ただし、更年期症状がある方やのぼせやすい方は、快適な温度で過ごすことも重要です。