スーパーの話。
出掛けた先の食品スーパーで買物をしていたら、若い女性に「チョット、スミマセン」と声をかけられた。
声の主は、中国人と思われる20歳くらいの女の子。
「コレハ、ドウヤッテタベマスカ」
女の子は手に『ところてん』を持っていた。
(↑ こんな感じの商品)
質問の内容がよりによって、私が食べたことあったんだか無かったんだかわからない食品、漢字で書くと『心太』とますますその正体がよくわからない食品。
でも見知らぬ私に聞いてきた彼女の勇気を思うと、ここはベスト解答をしたい。
私は、そのまま食べるんですよ。固いゼリーみたいな感じ。おやつですよ。と答えた。
彼女は
『コレハナニデスカ』と容器の蓋内側に付いている黒蜜を指差した。
ああ、それは“黒蜜”。甘いよ~。この中に入れて混ぜて…と私はジェスチャーしながら彼女が手に持ったところてんを説明した。
彼女は次に聞いて来た。
「コレ、オイシイデスカ」
……。困った。
私にはおいしいと思った記憶がない。でもそんなこと店の中で言えない。
どうしよ…。私は考え、
好きな人もいるし、好きではない人もいますよ。好みは人それぞれ
と言ってみた。
彼女は固まった。
どうしよ…。「とりわけおいしいというモノではない」が伝わってしまったのかもしれない。どうしよ~。私はとっさに、
それは、ずっ~と昔からある日本の食べ物です
と答えた。
すると固まっていた彼女の顔がパッと明るくなり、私に言った。
「ニホンノ、タベモノ、イパイ、タベテミタイデス」
おお
日本の食文化を知るという点で食べるなら、なかなかいいではないか。
私は「食べて食べて」と彼女に奨め、「日本の食べ物、好き」と聞いてみた。
彼女は言った。
「ニホンノタベモノ、オイシイ。ドレモスキ」
えっ
今までハズレ無し
ってことは、アタリだらけだったのか、外国の人からすると日本の食品が激ウマなのか…。
私は「あ、そういろいろいっぱい食べて」と他の食品もおいしいよアピールをした。
彼女はさらに満面の笑みを浮かべ
「ハイニホンノタベモノ、トテモスキゼンブ、タベタイ」
そしてアリガトウと私に礼を言い、会釈をしてレジに向かった。
日中友好。
でもところてんにそんな大役を押し付けるのは、荷が重過ぎる気がする。