再発の不安⑥〜退院まで〈医療用麻薬と抗がん剤〉〜

私に処方してくれた医療用麻薬は、『タペンタ錠』と『ナルラピド錠』💊

麻薬なので、海外に持って行く時はちゃんと申請しなきゃいけない。

『タペンタ錠』は中くらいの痛みから強い痛みに使用する『オピオイド鎮痛薬』という種類の定時薬。（持続する痛みをおさえるために規則正しく飲む痛み止め）

私の場合は朝の8:00と夜の20:00の1日2回。

『ナルラピド錠』は、レスキュー。【臨時服用】

（急な痛みがあるまたは痛くなりそうな時に飲むすぐに効くタイプのお薬）

2時間あけたら回数制限なく服用できる。

スタッフステーションの金庫に保管してるそうで、飲む時は看護師さんが持って来てくれる。

「お家でもペットやお子さんなどの手の届かない所に置いてね。」って薬剤師さんに言われたの。

そして飲む時は、看護師さんがちゃんと飲み込んでるか確かめるために、お薬を口まで運んでくれて、「飲み込んだら口を開けて口の中を見せて。」

って言われるの。

それほど危険って言うか、重要なお薬なんだなぁって思った。

緩和ケアチームのお医者さまは、

「『医療用麻薬』って聞くと、みんなビックリするけど、心配することないですよ。

依存しちゃうことや中毒が起こることもないし、安全で効果的であることもわかっています。」

っておっしゃった。

✳️麻薬の心配

❌麻薬を使うと頭がおかしくなっちゃう。

❌麻薬を使うと寿命が縮まる。

❌麻薬を使うのは「末期」ということだ。【最後の手段である】

❌中毒になってもうおしまいだ。【依存性がある】

これらはすべて誤ったイメージで、正しく使用すれば安全なお薬なんだって。

私は痛みを我慢しちゃうタイプで、入院してる時、夜中に痛くなってもナースコールをしたら看護師さんに悪いかなって思ってできなかったの。

1〜2時間ごとに起きちゃうし、全然寝られなかった…。

でも緩和ケアチームの薬剤師さんは、

「痛みは我慢しちゃダメですよ。痛いと辛いでしょ。でもこのお薬は痛みを取ることで、普段の生活を取り戻すことができるんですよ。

痛みがないとぐっすりと休むこともできますよ。

看護師さんはお仕事なんですからね。呼んだら悪いとか思わないで。

痛いと思ったらすぐお薬飲んでください。」

っておっしゃったの。

そして、

「これからしたいことは何ですか」

って聞かれた。

私は幅広く好きなアーティストのLIVEに行くことが趣味みたいなものだったので、

「LIVEに行きたいです。」

って言ったら、

「行けますよ行けますよ誰のLIVE」

って聞かれたので、

「ユーミンとか…。今年も苗場に行ったので、来年も行きたいです。⛷」って答えたら、

「大丈夫ですよ。」って。

（…てか既に購入済みのチケットがあって、9月に1回、10月に2回、LIVEに行く予定だった。）

本当に行けるのかな…

いや、絶対行ってみせるぞ

後でもう一回その薬剤師さんがいらっしゃったんだけど、桑田さんのLIVEのエントリー期間がちょうど入院期間中で、まさに今エントリーしようとしてた時だったの。

「今申し込もうとしてたところだったんです。」

と言ったら、すごくニコニコしてくれた。

抗がん剤やるかどうか決めなきゃいけなかったんだけど、数人の看護師さんに私のベッドの所に来るたびに

「抗がん剤やりますか」って聞かれたの。

「やる」と意思表示してるハズだったんだけど、トータルで10回くらい聞かれたかな…。

最後の方には「ちょっとしつこくない…」とまで思っちゃった。

「抗がん剤で心配なことはなんですか」とか…。

「やると言ってても、直前にやりたくないって思ったら拒絶できますよ。」とか…。

そんなこと言われたら逆に決心がぐらつくんですけど…。

抗がん剤の点滴は、その人用に一度作ってしまって「やっぱりやらない」ってなっちゃった時、廃棄しなくちゃいけないんだって。

それに、すごく高いんだって。（もったいない）

…だから何回も私の意思を確かめるのかな…なんて思っちゃった。

主治医の先生にも回診に来た時、私の意思を聞かれたの。👨‍⚕️

「やります。」って答えると、

先生も頷いてくれた。

そして、「Samanthaさん、今ご飯全然食べてないでしょ。普通の人でも抗がん剤やるとダメージ受けるんですよ。Samanthaさんはもっと食べなきゃダメ。食べないと点滴が取れないし、もっと食べて体力つけないと。」

とおっしゃった。

それからいつも入院食1割しか食べられなかったのを、なるだけがんばって5割までは食べるようにしたよ。

そして9/6、抗がん剤の点滴が始まった。

初めに30分くらい吐き気予防の点滴をしてからオキサリプラチンを2時間。

最後に点滴ルートに残った薬剤を投与しきるための点滴をする。

オキサリプラチンを点滴してる時、針が刺さってる部分が痛い気がした。

我慢してたけど、ちょうどそこに看護師さんが来たの。

「変わりないですか」

と聞かれたので、

「針が刺さってる部分が痛いです。」

って言うと、「点滴が漏れてるみたい。」と言って慌ててお医者さまを呼びに行った。

看護師さんによると点滴が漏れたら腫れて痛みが1〜2週間続いたり、抗がん剤の種類によっては壊死、潰瘍になる可能性もあるんだって。

痛いって言って良かったーーーって思った。

多分、看護師さんに様子を聞かれなかったら我慢してただろうって思った。

若いお医者さまがきて点滴の針を左手から右手に変えてくれた。

後でプレッシャーになるから言わなきゃ良かったって思ったけど、つい、

「私、針が入りにくいタイプで、この点滴の針、4回目でやっと入ったんです。」って言っちゃった。

するとお医者さまはちょっと緊張したみたいだったけど、一発で入った

私にとってビックリすることだったので、「すごいですね」って言うと、

「いやー、たまたまですよ。」っておっしゃって笑顔になった。

それから無事に点滴も終わって、翌朝からTS-1も飲み始めたの。

驚いたのは、TS-1って手で触っちゃいけないんだって。

私、前飲んでた時、平気で手で触ってたよ

看護師さんが口まで運んでくれるか、触らないように一度紙コップに出してくれてから飲んだよ。

後は血液検査が良かったら退院できることになった。

退院する前の主治医の先生の回診で、一番気になっていたことを聞いた。

私👩

「あの〜、私、腹水ってあるんですか」

先生👨‍⚕️

「ないよ。腹水で、おなかが大きくなっちゃう人もいるけど、Samanthaさんは腹水はない。」

私👩

「抗がん剤やりながら仕事、できますか」

先生👨‍⚕️

「働いている人は、それに合わせてお薬の量を減らしたりできるよ。」

私👩

「もし良くなって、TS-1だけになるってことあるんですか」

先生👨‍⚕️

「もちろんだよ。」

って答えてくれた。

めちゃめちゃ嬉しかった。

今回の入院で一番嬉しい先生の言葉だった。

血液検査の結果も良く、9/11(土)、めでたく退院となったの。

体重もほぼ入院した時と同じ38.9kgに戻った。

4年半前（胃がん手術）の退院の時は、主治医のN先生が「これから日が経つにつれてメキメキ元気になっていくよ。」

っておっしゃった。

その言葉はすごく私にパワーをくれた。

今回は退院はうれしいけど、やっぱ前回よりはこれから続く抗がん剤や腹膜播種のことを考えると元気が出なかったな…。

明るくいこうーーーって思うんだけど、

だって…腹膜播種…と落ちこむ自分もいる…。

毎回入院するたびに思うことは、

「看護師さんってすごい。」ってこと。

あんなに病人のためにいろいろお世話できるなんて…。

夜勤もあるし…。

いつも私にはできないって思っちゃう。

それと、病院長先生。

毎朝、毎夕、ご挨拶にいらっしゃった。

先生がカーテンの向こうで「トントン」っておっしゃってそれからカーテンを開けて

朝は「おはようございます。」夕方は「こんばんは」って私の様子を毎日見に来てくださった。

病院長であると同時に胃・食道外科の科長でもいらっしゃるから胃・食道外科の患者だけにご挨拶していらっしゃるのかもしれないけど、それにしても一人一人の様子を見て回っていらっしゃるのはすごく嬉しくて感動した。

患者一人一人に対する思いやりというものを感じたの。

病院の方々、本当にありがとうございました。

そして退院後の5日間くらいがめちゃめちゃ苦しくて辛かったのでした。。

（続く）

PS：ブロ友さんのeokpiiさんが、素敵な手作りのカードを送ってくださったの。

『大丈夫。好きな事、早く出来る様に祈ってます』って表に書いてくださってた。

とっても嬉しくて心にじーんと来た…。

どうもありがとうございます

大きなパワーいただきました。

eokpiiさんにいただいたカード