いつもより

ほんの少し奥に入ったその場所は

海は見えないけれど

波の音が近くに聞こえる所。

月さえも隠れた漆黒の夜空に

たった一つの星だけが私達を見下ろしていた。


前日の逢瀬の帰り際に

つまらないことで彼を怒らせ

その言葉と気持ちのすれ違いは

今夜も彼を嫌な思いにさせる。

全て私が悪いのだ。


けれど彼は

それでも愚かな私を受け入れてくれ

ため息混じりに笑顔を見せてくれる。

私はその笑顔に何度救われたのだろう。



彼の顔が近づいてくる。

けれどその唇は私の唇を通り越し

いきなり私の耳を愛撫し始めた。

いつも通り抱きしめて

キスをして欲しかったのに・・・


彼は言う

「今日は耳だけを責めてやる」


その唇が私の耳を包み込み

舌が耳の穴に差し込まれ

耳たぶに歯を立てられる。

熱い吐息と共にそれは

いつまでも、いつまでも執拗に続く・・・


全身に鳥肌が立つような感覚。

私はその快感に我慢することさえできずに

嬌声をあげてしまう。


その時私の耳は子宮に直結していた。

耳に受ける愛撫の分だけ

そこから溢れ出る熱い潤み・・・

繰り返し何度も訪れる

高みに昇る感覚・・・


漸く開放された耳は

熱く痺れ

息を付く暇もなく

もう一つの耳への愛撫が始まる。


それだけでもう

私のそこは気が狂いそうなほど

彼を求め、私は壊れていく

数え切れないほどの

高みに昇る感覚の中で・・・


そして続く愛撫は

私の敏感なところを一つ一つ通り過ぎ

私は益々壊れていってしまう・・・


私のそこに彼が入ってきてくれた時

朦朧とした意識の中で

彼のもので私のそこがいっぱいになり

私のそこの中の全てが彼を感じ

得も言われぬ快感となり

潤みを溢れさせ

その悦びに淫らな嬌声をあげながら

涙が出るような想いを心の中で感じていた。

心の中で叫び続けた

「あなたが好き

大好き

ずっとずっといつまでも

私を抱き続けて・・・」



今朝になっても

少しずつ私のそこから流れ出る

夕べの名残の

彼が私の中に放ったもの・・・

それを感じるたびに

私は彼を想い

幸せに満たされていく・・・


                  samansa



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