夫の実家から不意にちりめんじゃこが届いた。
年に何度か送って来てくれるのだが、
西日本のとある業者が自分で加工販売をしているもので、
毎回見るたびにその美しさに驚き、
美味しさに感嘆の声があがる逸品である。
私の友達のお子さんで、
感覚過敏などがあることから食べるということが、
なかなか大変なお子さんがいるのだが、
そのお子さんが必ず食べてくれるものの1つが、
お裾分けをするこのちりめんじゃことあって、
早速にとりわけてお裾分けする。
帰宅してからは我が家も、
炊き立てのごはんにたっぷりとのせて昼食にいただいた。
メインをちりめんじゃこにして、
白飯、大なめこと豆腐の味噌汁と肉野菜炒め、
それに常備菜の黒豚みそやコストコで買う、
韓国のりフレークなども食卓に並べる。
口に運ぶとその柔らかさや繊細な味わいが、
いつもながらにとてもおいしい。
若いころはちりめんじゃこと言われても、
てんで見向きもしなかったのだが、
こうしたものの滋味を味わえるようになったというのは、
それだけ年をとったのだろう。
しかし食べているうちに、
ふと悪戯心というかなんというか、
黒豚みそをまぶしたご飯にちりめんじゃこを乗せ、
更に韓国のりフレークをかけるという、
実に節操のない形態を作り出してしまった。
真向かいに座る娘が呆れ顔しているのが目についたが、
素知らぬ顔で口に運ぶとビックリした。
夫々の味わいが一つにまとまることで、
実にけしからん美味しさを醸し出しているのだ。
最初は韓国のりフレークの香りと食感が拡がるが、
すぐに黒豚みそのまろやかな甘さが後に続き、
そこにちりめんじゃこのほのかな塩気と柔らかさが、
実にここちよく舌を楽しませてくれる。
しばらく前に流行した「悪魔のおにぎり」と言うのがあったが、
それとは別の、しかし悪魔的な美味しさを覚えてしまった私は、
当面ご飯が進んで仕方ない日々をおくりそうだ。