成田空港からイギリス・ヒースロー空港へ向かう。
成田空港に集合したツアー仲間たちは総勢10名。
男女の比率は、3:7。
男性陣は、30歳になったばかりの哲と同じく30代の自営業の男性、また50代のご夫婦で参加されていた旦那さん。
女性陣は、20代が2人、30代が一人、40代、50代がご夫婦の女性を入れて4人。主婦が多いようであった。
そんな顔ぶれであった。
みんなルビー氏の大ファンのようである。
また「ストーンヘンジの秘密」を読み、
ストーンヘンジでの奇跡体験を期待してるのかもしれない。
ともあれご縁のある仲間たち、楽しい旅になる予感が誰の顔にも浮かんでいた。
今回のイギリスの旅は10日間。
前半の2日間は、ロンドン周辺の観光を周り、3日目の夜にストーンヘンジ近くのホテルのロビーで
ルビー氏と落ち合い、軽くみんなで挨拶を行った。
憧れのルビーさんが目の前にいる。
哲ははやる気持ちを押さえつつ、これから数日間は一緒に旅ができる喜びに心震えていた。
4日目にストーンヘンジ博物館に立ち寄り、そこで色々とストーンヘンジの不思議について
館のスタッフから説明を受けた。
内容は、ルビー氏の著書の中で知ったことが多かったが、
やはり驚きは、未だに解明されていないことが多く、
ストーンヘンジが作られたのは、
紀元前3000年から紀元前1500年頃にかけてとされていること。
紀元前3000年というのは、今から5000年も前のことであり、
日本は縄文時代であり、竪穴式住居に住み、狩猟・採集・漁労を中心とした生活を送っていた頃であろう。
しかしこの地方では、現代の科学をもってしても建設は容易ではない石の建造物を造り、
それが何のために造られたのか分かっていないということに大きな不思議とロマンを感じずにはいられなかった。
その後、いよいよストーンヘンジとのご対面が待っていた。
みんなで左側にストーンヘンジの遺跡を見ながら、ゆっくり外周を周った。
ルビー氏の周りには、いつも女性陣が囲んでいたため
そこからちょっと離れた位置で一緒に歩いた。
ルビー氏はとても気さくな人で、彼の周りにはほんわかした空気がいつも漂っていた。
哲も何度か話す機会はあり、
自分は宮崎から参加していることを伝えると、
ルビー氏がヒッピー時代に宮崎にはよく行っていて、
特に巾着島でキャンプしていた頃が懐かしいとこぼしていた。
巾着島?
たぶんこの島のことは、宮崎の人もほとんど知らないほど小さな島。
でも、哲はよく知っていた。
哲が通っていた保育園から見える島が巾着島だったからなのだ。
えっ?あそこでキャンプしながらヒッピーやってたんですか?
話は、そんな超ローカルな話で盛り上がった。
また「会社を辞めて、このツアーに参加したことを伝える」と、
驚きながらも、「それはこれから最高の未来が待っているね。
楽しみながら進んでいくといいよ」
と太鼓判を押してくれた。
その一言を聞けただけでも、このツアーに参加して良かったと思えた。
ストーンヘンジが真っすぐキレイに見えるポイントに着くと
ルビーは、みんな集まるように声をかけ、
彼の方を向いて円陣ができた。
そこでルビーは話し始めた。
「みんな今回は、このツアーに参加してくれてありがとう。
ぼくの本を読んでくれた人が大半だと思うし、全国を回った講演会にも来てくれたメンバーだと思う。
それで本にも書いていたけど、友人のポールからこのストーンヘンジの話を聞き、
彼が座ったとされる石を探す旅立ったけど、その石は見つけることができなかった」
みんな「うん、うん」と頷きながら聞いている。
「でも、帰る最後の日にぼくはここで仰向けにひっくり返っている時に、「またね」という声と共に
いくつかのビジョンが頭の中に流れたんだ」
それも知ってると、みんな頷いた。
講演会の時、その話をしてくれたからだ。
ーーストーンヘンジのそばで見たビジョン
その時、ルビーはどこか分からないが、日本のどこかで講演会をしている映像だったと
だから全国の主要都市5カ所で、講演会をすることになったと。
うん、うん
みんな興味深そうに話の続きを待った。
「そして、みんなに伝えたい他のビジョン。
それは、日本人の仲間たち10人とここにいるビジョンだったんだ」
その瞬間、え~~~~?という驚きの声が上がった。
哲もびっくりしながら、腕をさすっている。
鳥肌でも出たのだろう。
「そういうことで今、みんなとここにいます。
だからね、ぼくが思うに、あの本の話は、ポールからぼくへのメッセージだけではなく
それを通して、みんなへのメッセージだったのかもしれないね。
ここからさらに広がっていく大事な何かがあるのかもしれないね」
ルビーはみんなの顔を一人ずつ見渡しながら、微笑んでいる。
哲は驚きながら、またストーンヘンジを眺めた。
その遺跡は静かに佇んでいた。
ルビーの話が終わると、おのおのに分かれていった。
それぞれが静かにストーンヘンジと向き合いたいのだろう。
哲も一人静かにストーンヘンジと見つめている。
彼は、会社を辞めることを悩み抜いたほど、憧れ続けたストーンヘンジ。
そこまで思い続けた遺跡が目の前にある。
その現物をリアルに見た瞬間、涙が溢れてくるかも、
そういう想像もしていたが、
哲は「これか~」と冷めた目で見ている自分に驚いた。
もしかすると、哲はイメージの中で何度もストーンヘンジへ来ていた。
行きたい行きたいという思いの中で、何度もここへ来ていた。
ゆえに初めてここにきたという感覚が薄れていたのかもしれない。
だから目の前に本物のストーンヘンジを見ても
「あ~これこれ」みたいな感覚になったのかもしれなかった。
真相は分からないが。
また明日、自由な時間が設けられている。
その時、ゆっくり挨拶をしようと、
哲は「また明日ね」とストーンヘンジを後にした。
